居士 -こじ-

居士とは


戒名に使用される「居士」という尊称。
本来は在家でありながら仏道に精進する男性を称する語でした。
仏教で使う居士の語は、サンスクリットの「グリハパティ」、すなわち「家の主人・家長」の訳語ですが、特にインドの四姓の中のヴァイシャ階級の資産家を呼ぶときに使用されたようです。ヴァイシャは商工業に従事し、仏教を信奉する富豪も多くいました。
『祖庭事苑』という禅籍には、居士と呼ばれるための四つの条件が挙げられています。
  およそ四徳を具するものを、すなわち居士と称す。
  一には仕宦(官)を求めず。……役人ではない
  二には寡欲にして徳を蘊(つ)む。……欲をもとめず功徳にはげむ
  三には財に居して大いに富む。……大金持ちである
  四には道を守ってみずから悟る。……仏道に精進する
居士になるのも並大抵のことではなかったようです。今となっては単なる理想像かもしれません。