何年か前に実家にあった図録を見て、その模様の精緻というだけではない、暖かさと美しさに見入った事があった。
その後何度か人間国宝展やその他で本物を目にする機会を得て、奈良の「富本憲吉記念館には是非行かなくては」とずっと思っていた。
そんな折、京都国立近代美術館で8月1日から-生誕120年 富本憲吉展-があると知り、さっそく足を運んだ。
富本さんと言えばこの模様!という、あの羊歯をモチーフにした模様にたどり着くまでに、学校では図案を勉強して邸宅のデザインを依頼されていたり、その他陶芸においても、楽焼などいろいろな作品を作っていたようだ。
金襴・銀襴手などもあり、またあの華やかな模様を観ていると、表面上のみで捉えがちになり、今までは「なぜこの人がバーナード・リーチを始めとする民芸の人たちと共に行動をしていたのだろう」と疑問に思っていたが、今回富本さんの歩んで来た道を辿り、作品をたくさん観る機会を得た事によって、漸く「なるほど」と少しわかった気がした。
ルネ・ラリックは自然を愛し、植物や昆虫そのものをデザインに取り入れたが、富本憲吉さんはそのものではなく、自然にある植物などからヒントを得て図案を考えた。
用い方は違うかもしれないが、この西洋と東洋の、自然をこよなく愛した2人の作品に、深いところで共通点を感じた。
確かに、そこらへんになにげなく咲いている花にも、宇宙の真理が秘められているはずで、当り前のごとくその事に気付き、自然を愛した2人だからこそ共通点を感じたのかもしれない。
(N.K Wrote)