毎回訪れるのを楽しみにしている逸翁美術館。
今回は開館50周年というおめでたい年。
出展作品を見てもわかるように、選りすぐられた逸品にて、「特別記念展」が催されている。
今回心に残ったのは、大好きな俵屋宗達による「飛鴨図」。
光悦とのコラボを始める前の画だろうか??? たらしこみの技法も少しは見られるのだが、光悦とのコラボ作品のそれとはまた違う。なかなかお目に書かれない、どちらかというと渋めの味わい深い作品であった。
また、大棗・吹雪などの時代物も、昔の職人の心意気が見えるかのような味わいで、私は「竹林蒔絵大棗」に心惹かれた。後期(10/27~12/9)の展示替えでも、錚々たるものが出展されるようなので、改めてでかけたいと思っている。
さて、この「雅俗山荘」での展示は、来春をもって終わりとなるようだ。
「逸翁美術館」は、違う場所に新しい建物にて生まれ変わるらしい。耐震性の問題や、建物の老朽化などが問題となったのだろうか。和洋折衷の重厚感ある旧邸は、美術館というより、本当にお宅にお邪魔しているような感じで、昔から親しんで来た美術館だけに、仕方ない事とはいえ惜しくてならない。
即庵での呈茶も、毎回楽しみであった(土日は近隣のお茶の先生方が釜を懸けられます)。こちらでの一服を未経験の方、是非一度お運びいただきたい。
小林一三について、余談ではあるが・・・。
その昔、阪急百貨店には、彼のお肝煎り(であろう)にて、雰囲気ある骨董街のような一角があり(今でも1、2軒残っているが)、幼いながらも私は「ここから先は異空間だ」と感じ、なんとなく漂う緊張感から、色々な事を学んだ気がする。一軒ごとに、ガラスケースには逸品が値段も無く並び、美術館のようで、普通の店とは違ってのれんの奥で商談するという・・・。
美術画廊も他の百貨店とは比べ物にならないほどに非常に広いスペースで、毎回の展覧を楽しみにしていた。
他の百貨店とは違う独自性は、小林一三の考えが反映されていたからなのであろう。
今、百貨店は建て替え工事中であるが、彼の美に対する精神を忘れぬ、独自性ある百貨店であってほしいと願うのは、私だけではないと思う。
単に色々な物を売る百貨店ではなく、あの当時の阪急百貨店は今の私にも大いに影響を与え得る場所であった。
阪急百貨店の骨董街、銀座街、何室かある広い美術画廊を懐かしく思われる方、いらっしゃいませんか?笑