季刊『禅文化』の206号より、東慶寺の寺庭婦人井上米輝子さんに、自然の彩り鮮やかな、鎌倉は松岡山にある東慶寺の四季の移ろい、季節ごとの喜びや楽しみなどをご寄稿いただいています。
実は、ご寄稿いただく前から、寺庭婦人さんのブログ、-まつがおか日記-をいつも楽しみに拝見させていただいていました。
ことに茶の湯をたしなむ者には、この東慶寺境内の山野草、茶花の豊富な事に心ときめかせつつ、季節ごとに掲載されるその可憐な花々を写真で楽しんでいた次第です。
畑などで採れる季節の恵みは、スーパーで買うのとはまた違って、自然からの恵みに対する感謝の気持ちへと直結しているような気がします。だからこそ、東慶寺で饗される精進料理の美味しさはいかばかりかと…。
近くに住んでいれば、茶会や坐禅会、朗読の会など、あしげく通いたいお寺です。
まだ小学生だった頃、偏食ぎみだった私が田舎に帰ると、魚もお野菜も、お味噌汁もおいしいおいしいと食べていたのをふと思い出しました。すぐ近くに畑も海もあり、水道水も都会とは全く違う美味しい水。我が事ながら、「子供って正直なんだなぁ。敏感なんだなぁ」と昔を振り返り思います。
お寺の暮らしから、昔の日本人なら当たり前に持っていた自然の恵みへの感謝、自然に対する畏敬の念、物を大切にする事、工夫して生活する事など、様々な事を教わる事ができます。
当たり前のごときその暮らしぶりそのものが、何か大切なものを見失いつつも、必死で前に進もうとする現代日本の人々へのメッセージとなっているように思えます。
*写真 季刊『禅文化』206号 まつがおか日記―秋 より(寺庭婦人さん撮影のものです)