今回の訪中は、主に2つの仕事のためである。
その一つは、研究所が事務局を兼ねている、臨済宗黄檗宗の公式サイト、臨黄ネットホームページの中国語版を作成するため、その翻訳についての打ち合わせである。
既に、英語版ページは去年の冬からオープンしているが、今度は中国に向けても発信しようということになっている。そもそも禅は中国から渡ってきたわけであるから里帰り的ではあるが、日本と中国の友好を深める意味もある。
もう一つの仕事は、研究所が日本国内で発行発売している書籍の中国語版の出版についてである。現在、予定に上がっているのは、禅僧の修行生活を絵をつけて書かれた『雲水日記』、山田無文老師の説話集『和顔』および『愛語』。この3種類である。
中国の大手出版社である北京三聨書店に出向き、担当者と協議の結果、まずは『和顔』『愛語』を1冊に纏めて『和顔愛語』として刊行することになった。翻訳するのは、北京在住の禅文化研究所研究員、李建華さん(季刊『禅文化』のチベット紀行でおなじみ)と、その奥さんの楊晶さん。
李建華さんは、北京の王府井にて、「北京同心社文化有限公司」という会社を経営し、日本語と中国語の通訳、翻訳、コンサルティングをされて活躍中。私が北京滞在中は、ほぼずっと同行していただいたが、携帯に電話やメールが頻繁に届いていた。楊晶さんも、日中政財界交流において、とても有名な通訳者である。
『雲水日記』の方はまだ出版社が未定だが、三聨書店の担当者とのご縁から、中国の有名な某寺院住職にお願いして、中国と日本の禅僧の生活の違いなどを解説する文章を加えていただき、出版しようという方向で話がすすむことになった。
中国出張、まずまずの成果である。