一連の管長老師のビデオ収録で、臘八接心のあけてまもない早朝の建仁寺僧堂を訪ねた。
建仁寺へと拝観者が多く訪れる本坊庫裡とは少し離れた場所に建仁寺僧堂はある。
本日お話をうかがう建仁寺管長の小堀泰巌老師とも親しく接したことがなかったが、わが国の最初の臨済道場である建仁寺は、臘八開けとはいえ、ピリっとした空気で澄んでいた。
案内を請うと、「ど~れ~」という対応の雲水の声がひびき、我々は海北友松の障壁画のある書院に通された。この部屋での収録である。床の間には白隠禅師の達磨図がかかっている。
方丈の前には回遊式の素晴らしい庭園があると聞いていたが、もちろん目にしたのははじめてのこと。大変うつくしい庭にしばし目を細めさせていただいた。
収録には3時間以上もかかったが順調にすすんだ。
小堀泰巌老師は滋賀県の寺で生まれられたが、幼き頃に東京の広徳寺に小僧に出され、鎌倉の建長寺僧堂の湊素堂老師に参禅され、晩年に倒れられた素堂老師の十年以上にわたる介護もされて、最後までみとられた方である。
素堂老師との思い出話は話しても話しきれないほどのようで、その中でも、人と人との繋がり、信頼というものは大切にしなければならないことだと教えられたということを語られていた。
じっとしているより、できるだけ雲水と共に仕事をして、一緒に汗を流し、いろいろなことを学ばせることが好きだとおっしゃる老師は、今も20人ほどの雲水に日夜指導をされておられる。
*各派管長、老師との対談は、来春にDVDにて禅文化研究所より発売予定です。
前回のブログ記事-禅僧のことば-はこちらからどうぞ。