*嵐山・天龍寺にて
「和尚さん、ここは禅宗の寺ですよね?」。
「そうだよ」。
「どうして忍者がいるんですか?」。
と、20代ぐらいの若者が尋ねます。
何を言っているのかわからず聞き直すと、若者は庫裡(くり)玄関の衝立の達磨大師図を指すのです。
朱の頭巾を被った半身達磨の大衝立です。
「これは達磨大師といって、インドから中国へ仏教を伝えた人だよ」。
「へ~、そうですか!忍者じゃないんだ!」。
近頃の若者たちは達磨を知らぬのか!
昨年末、禅文化研究所から出た『日本にのこる達磨伝説』でも読んでみなさい!と言いたい気分であった。
起き上がり小法師・達磨さんとにらめっこ・選挙七つ道具の一つ、当選すれば達磨に目を入れて万歳!などなど、そういったものを知らないのであろうか…。
仏教がインドで起こり、中国に伝来する立役者となった達磨大師も、時代と共に忍者に化けるのかと苦笑しました。