禅僧のことば -相国寺 有馬頼底管長-

有馬管長のインタビュー場面

京都御苑の北に位置する相国寺は室町三代将軍足利義満を開基とする臨済宗相国寺派の大本山である。
今出川通りから同志社大学と同志社女子大の挟まれた道を北に上ると総門が見えてくる。最盛期には一大伽藍を有していたが、応仁の乱以後の幾多の戦火等により仏殿を始めとする堂宇を焼失し、今は法堂を中心に大方丈、庫裡などいくつかの諸堂を残すのみである。
今回のビデオ収録は、相国寺派の管長である有馬賴底老師である。管長職と共に京都仏教会理事長として京都の景観問題に取り組み、また日中臨黄友好交流協会会長として日本と中国との宗教交流に尽力されている。
撮影場所となったのは、昭和59年に山内に建てられた承天閣美術館である。昨年5月に展示場が2倍の広さにリニューアルされ、その記念として行なわれた「若冲展」は記憶に新しいところである。


朝9時から始まった収録は、有馬家の子弟として育った幼少の頃からの話に始まり、両親の離婚により大分の寺院に預けられ、そこでの厳しい小僧生活から僧堂での修行のことなど、生い立ちだけでも2時間近く語っていただいた。
有馬管長は山崎大耕、大津櫪堂各老師の晩年をお世話される中で、禅僧がどうあるべきかがわかったという。二人の老師がお互いの個性を出し合って商量するという話は、禅僧の生きざまが感じられ面白かった。
現在、管長は平和憲法を守り核兵器廃絶の運動を積極的に進めておられる。多方面にわたる活躍の場は老いてなお増えてゆく予感がする。
*各派管長・老師のお話のDVDは、春頃に研究所より発売予定です。

大本山相国寺