樂美術館

樂美術館

言わずと知れた、千家十職の職家、樂家の美術館。
と言っても、茶道をしない者には縁遠い美術館かもしれない。
なにせ樂焼ばかりが展示されている美術館であるから・・・。
だが、茶を学ぶ者のみならず、誰が来てもいろいろな趣向で我々を楽しませ、学ばせてくれる美術館だ。
現在は夏休みという事もあって、『シリーズ 樂ってなんだろう 親子で見る展覧会 樂焼の七不思議』と題して、展示がなされている。
樂茶碗一つずつに、子供たちでもわかるように説明がされ、しかし、子供対象であるからといって、ごまかさない、丁寧なわかりやすい解説をし、大人でも楽しく勉強できる。
今回の展示でも説明があったのだが、樂家の代々は、3代前の当主が見つけ出し、それをねかしておいた土を使う。つまり、当代が探し求めた土は、当代が使うのではなく、3代後もしくは4代後の当主が使うのだ。今も当代は土を探し求めていらっしゃるという。
また、樂家では、一子相伝でありながら、一切子供にその技法を教えない。むろん、釉薬の調合についてもしかり。


こうして、初代長次郎から数えて現在の当主が15代。樂茶碗を主に作り続けているわけであるが、代々の当主が自分の方法を編み出し、葛藤を乗り越え自分の樂焼を完成させる。
この樂家の長年の歴史と、代を受け継ぐ者の重みに思いを馳せると、展示されている貴重な茶碗一つ一つと真摯に向かい合い、拝見しなくてはならないと思う。
また、当代は樂家所蔵の茶碗などを使い、茶会や手に触れる会などを催し、使ってこその物であることを教えて下さる。なかなか出来ない、素晴らしい試みをされていると思う。
東京芸大の彫刻科を卒業された後、イタリアへ留学し、現在は僧堂に通っていらっしゃると聞く。漢詩などにも精通していらっしゃるようで、茶碗の名にも詩経から引用した名を見る事がある。
これからの作品も、とても楽しみである。
余談であるが、
あまり知られていないようだが、樂家の玄関にかかる暖簾の字は、かの本阿弥光悦のものである。
光悦と樂家に関わりがあったと言ってももちろんの事のように思うが・・・。
(N.K Wrote)

樂焼家元の碑