禅僧のことば -永源寺 篠原大雄管長-

永源寺僧堂

ちょうど大寒、雪の舞う中、滋賀県東近江市にある大本山永源寺に、各派管長方のDVD撮影のひとつ、篠原大雄管長の取材に訪ねた。
「こんな真面目くさった質問じゃ、本音がしゃべれんじゃないか」と撮影前におどけてみせる老師だったが、以前よりぐっと痩せてしまわれている。
というのも、去年の三月に喉頭癌を患われ、まだ一年にも満たない闘病中の御身。声が出しにくいのと、近ごろまでは提唱でもマイクを使用されていたとのことであった。
しかしにこやかにインタビュワーの質問に答えられ、とても大切なお話から、冗談も加えられてという、あっと言う間2時間強の撮影だった。
しかし、終わってから、実は声を出すのはまだ少し辛いんだとおっしゃる。そんなそぶりなど全くなかったので、長時間の撮影で申し訳ない思いである。だがとてもいいお話が聞けたので、みなさんには製品となったビデオを楽しみにしていただきたい。

篠原大雄管長


老師がおっしゃるには、”Back To The Basic!” が禅の生活の基本であるからと、この僧堂でもそういう生活を目指し、雲水にも指導しているとのこと。ガスはあるものの、基本的にすべて薪をくべてかまどでの調理。また毎年、炭焼き小屋で炭を焼いているとのこと。
永源寺ではもちろんのこと、京都の僧堂にもさしあげているとのことだった。
ちょうどあと数日で炭が焼き上がると聞いたので、炭焼き小屋をお邪魔してみた。なんとも懐かしい香りがただよっていた。
炭を焼くのには20~30日くらいはかけなくてはならない。夜中も必ず雲水の誰かが寝ずの番で付きっ切りなんだそうだ。Back To The Basic! これほど贅沢なことはないのかもしれない。

炭焼き小屋