毎年2月8日、十三参りでも有名な大阪は天王寺にある太平寺(曹洞宗)にて、堀内宗心宗匠ご奉仕による献茶式、そして茶筅供養があります。
約一ヶ月前の話になりますが、今年は久々にでかけて参りました。
茶人の朝は早いと言われますが、2月の寒さも何のその!この日は特に、宗心宗匠のお献茶を前の方で拝見したい!と思う人達で朝早くから境内はにぎわいます。
願い叶って一番前で、宗匠の所作その全てを見逃すまいと食い入るように真剣に見つめる人達の表情を見て、研究所から出版させていただいた、堀内宗心宗匠『歩々清風』のまえがき、臨済寺僧堂師家・阿部浩三老師の
――伝統の継承、文化の継承というのは、先人先達の生き様やそのあとを、そして熱意を丸ごと感じとって、実はこちらの方がひたすらに習い、ひたすらにひたすらに求め続けていって、はじめて伝わっていくものではないのでしょうか。――
という一文を思い出しました。伝統や文化は、上から下へと単に水が滴り落ちるようにつたわっていくのではなく、ひたすらに求める者がいてこそ伝わる。また、ひたすらに求めたくなるような継承者が存在するという事がもちろん大前提になるわけで、茶の湯を稽古する者としては、伝統文化を継承するというような大それたおこがましい事はさておき、ただただ宗心宗匠のようなお方と同じ時代に生まれて来られた事を感謝し、仰ぎ見つつ稽古に勉強に励むのです。