六波羅蜜寺 -その1-

六波羅蜜寺

皆さんも学生時代に教科書で初めてご覧になった時、ハッと引きこまれませんでしたか?
どうしてもあの写真が目に、そして心に焼き付いて離れない、唱えられた「南無阿弥陀仏」がそのまま阿弥陀仏の姿となって口から現れ出ている、空也上人立像(重文)を初めて拝みに訪れました。
近いのになかなか訪れる機会が無かった-六波羅蜜寺-。近くにはお精霊参り(六道参り)で有名な六道の辻(あの世とこの世の境界と言われる場所)があり、なぜか私はこの辺りでよく迷う事と、なんとなく不思議な感覚に充たされる事から、足が遠のいていたのでした。
今回は-京の冬の旅-にて、特別に空也上人の画と実際にお使いになられた鹿の角の杖が公開されるという事で、この機会にと訪れました。


この六波羅蜜寺、天暦5年(951)に空也(くうや)上人により開かれたお寺で、西国三十三ヶ所観音霊場第17番札所でもあります。
さすがに古い古いお寺だけのことはあって、宝物館に所蔵されている寺宝も素晴らしく、空也上人は言うまでもありませんが、髪掛地蔵として有名な地蔵菩薩(藤原時代)の慈悲深く柔和な表情に強く惹かれました。また、運慶・湛慶(運慶の長男)父子の像も興味深いものでした。数々の力強い像を彫り上げた父子の表情は、高僧なみと言っても過言ではないほどの迫力・気迫に満ち溢れていました。
その他、今にも何か声を発しそうな平清盛坐像(重文)なども見応えがありました。
今回特別公開された、空也上人が可愛がっていた鹿(猟師にあやまって撃ち殺されてしまいました)の角の杖はかなり立派なもので、空也上人像と合わせ拝し、華奢な空也上人がこの杖とつきながら都中を歩いてまわられたのを想像し、多くの人の心を救われたのかと感動しました。