ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展 -滋賀県立近代美術館-

ヴォーリズ展

滋賀県立近代美術館にて、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展が開催中です(3/30まで)。
今回は、母校のヴォーリズ建築についてが語られる下記の特別講演会の日に訪れてみました。
◆特別講演会「窓からの眺め」神戸女学院キャンパスに見るヴォーリズの美学
  日時=3月2日(日) 午後1時半~ 会場=当館講堂(聴講無料)
  講師=神戸女学院大学文学部教授 濱下昌宏氏、石田忠範建築研究所 石田忠範氏


濱下先生の講演で非常に印象的だったのは、「女学院はどこか瞑想する場所という感じがあるんですね。建物が私達に何が見えてくるかを試しているんです」というお言葉。
学生時代は気付かないかもしれませんが、女学院卒業生にはこの言葉がとても胸に響きます。
「確かにあの4年間はそうであった…」と。
卒業して社会に出てなお、自分の精神の根本となるような部分、芯の部分が育まれた場所として、いつも母校を懐かしく一種独特の感慨を持って思い出します。修道院で暮らした事はもちろんありませんが、なんだかそういう神聖な場所のようにあの場所を懐かしみます。
また、石田忠範氏の講演では、ヴォーリズが『神戸女学院新建築の要素』として、こんな事を書いていると仰っていました。
○「もしもこの(神戸女学院の)建築が真に成功したとすれば、その最も重要なる機能の一つは、永年の間に人々の心の内に洗練された趣味と共に美の観念を啓発する事でなければならない」
○「校舎は生徒の精神経験に影響を及ぼす」
○「生活の霊的方面を無視して教育は不完全である」
ここまでの理想と信念を持って建築された校舎で過ごせた有難さを、改めて感じました。
仏教徒、祖父は禅僧、今はご縁をいただいて禅文化研究所で働かせていただいている私ですが、霊的な精神が宿る場所で多感な時代を過ごし、与えられた影響には図り知れないものがあります。
最後に…美術館の学芸員の方が、「初めて女学院を訪れた際に、自分が仏教を専門としているからかもしれないが、禅寺のような清々しさを感じた…」と仰っていたのが印象的でした。

神戸女学院大学

神戸女学院大学。文学館と図書館。小高い山の上にあるので、上には空しか見えません。自然にも恵まれています。
京都でしたら、同志社大学の一部、駒井邸、大丸ヴィラ(旧下村邸)などがヴォーリズ建築として有名です。