高校生の頃、漕艇部に在籍していた私は、今も琵琶湖を見るたびに、美しいと思う。
日本一の大きさを誇る琵琶湖は、季節や日、そして時間によって、全く異なる顔を見せる。
春分の日を迎えたとはいうものの、まだ冬の名残を見せ、琵琶湖にしては荒い波の打つ夕暮れである。
5月後半にもなると、波もたたずだいぶ静かになり、おちついた湖となるのではあるが。
今年は雪も多かったので、夏の渇水もいくらかましではないだろうか。
琵琶湖の水は周辺の生活用水の下水化が進むにつれ、一時期よりだいぶきれいになったとは思う。下水が整っていないころは、琵琶湖の富栄養化防止のために家庭廃水を浄化し、中性洗剤ではなく、必ず粉石鹸を使用するようにと住民運動をされていたが、そういえば最近はあまり聞かなくなった。
太古からある、この美しい湖を、我々の時代にもきちんと守っていきたいと思う。
話は脱線するが・・・。
数日前の新聞を読んでいたら、2005年にボートで釣りに出たまま行方不明になっていたという、彦根市の男性の水死体が、つい先日、高島市沖で発見されたとか。3年近く、琵琶湖に漂っていたということなのだろうか。
井上靖の『星と祭』という小説をふと思い出した。
主人公の架山は、娘を琵琶湖で遭難させてしまい、その遺体もあがらず悲しみから抜け出せないまま、娘の魂と対話したり、ヒマラヤへ月を見にでかけたりするが、そのうち、湖北の十一面観音さまが守っていてくださるという気持ちになり、琵琶湖周辺に点在する観音さま巡りをするようになるという話である。
この中に出てくる渡岸寺の十一面観音は、以前のブログにも書いたが、私が一番美しいと思う観音さまである。