晩春の夕景 -湖北-

晩春の夕景
滋賀県長浜市付近の美しい夕景である。
湖には水鳥が飛び、少し空気も冷えて、さっぱりとした風が吹いていた。
湖の中にポツンと小さな影がみえる。
何に使うかわからないが、小さな小屋が浮いているのである。まるでムーミンに出てくるスナフキンの家のような感じ。
ゆるやかな風が吹いているだけだが、それでも雲は形を変え、それによって大陽の光線も変わり、美しい中にもその美しさをかえていく。
絵に描いたような景色でも、決して同じ景色として止まっていない。時が流れているのを実感として感じるのである。

湖北の夕景
さて、この近くには、多田幸寺という妙心寺派の寺院がある。つい先頃、遷化されてしまったが、ここに中島義観という老僧がおられた。妙心寺派の重役にもつかれ、また、妙心寺派布教師の重鎮であった方だ。臨黄ネットの法話ページにもいくつもその法話が掲載されている。
私が子供の頃から、何度も何度もその法話を耳にする機会があり、笑いあり涙あり、なんとも聴衆を引きつけるお話をされるお説教師さんだと、子供ながらに感じ入っていたのを思い出す。
長らくご無沙汰をしていたし、まだお元気なら、今一度、法話を拝聴したいものだと思っていた矢先、遷化の報を聞いたのだ。
美しい夕景をみながら、その老僧のことを少し思い出していた。