南禅寺にほど近い野村美術館では、6月8日(日)まで-高麗茶碗への挑戦-として、朝鮮より渡って来て日本において伝世してきた高麗茶碗が紹介されています。
また、今回非常におもしろいのは、古い高麗茶碗と一緒に、日本・韓国で活躍している現代の陶芸家によって作られた高麗茶碗を展示している事なのです。
絵画などと違って茶碗の場合、どのような土・釉薬をもって、何度くらいで焼成されたのかを分析するのは難しく(茶碗を少し割って調べるわけにもいきません!しかも焼成される前と後ではだいぶ大きさが違います)、如何に「写し」の茶碗を作るのが難しいかが想像つきます。
今回の展示では、現代陶芸家が挑戦した「写し」の茶碗も多く見られますし、また、その他現代の陶工が丹精を凝らして作った高麗茶碗が楽しめます。
それにしましても、茶人が昔の朝鮮の雑器を茶碗にみたてて使ったからこそ「高麗茶碗」の地位は確固たるものとなりましたが、何よりも、何らてらいの無いその器達に美を見出した日本の古の人々の「こころ」に、私はいつも感動を覚えます。
現代の陶芸家が、元々は茶碗として作られたものではなかった高麗茶碗というものに挑戦するのは、悟った事さえ忘れてしまっているような、そんな境地が必要なのかも知れないなぁ…と思った次第です。
今回、お軸は松花堂昭乗の「維摩居士・寒山・拾得図」の素晴らしい三幅が展示されていて、こちらも必見です。
南禅寺の青もみじを見に…という方は、是非こちらにも立ち寄ってみて下さい。