禅の修行道場(僧堂)での食事は、本当に質素なものだ。その中で一番の御馳走は何か?と聞かれたら、迷わず「うどん」と答える禅僧が一番多いのではないだろうか。
僧堂で食べるうどんは「湯づきうどん」。一般的には釜揚げうどんと呼ばれるが、湯立てたうどんを、ツケだれですするのである。普通は音を立てずにもくもくと食べるのが僧堂の食事の様子なのだが、こと、うどんの時には、ずるずると音を立てることが許され、お変わり自由食べ放題といったところだ。
さて、そういったことから、私自身もうどんは大好きな部類に入る。
椎名誠氏の小説にも出てきて、以前から一度現地で食べてみたかった讃岐の生醤油うどん。遅めの夏休みをいただいて、ちょっとした旅に出たので、高松に行って食べてきた。
ご存じの通り、高松市内には沢山のうどん屋さんがあるので、あらかじめ仕入れたガイドブックにより、なかでも人気のある、るみばぁちゃんのうどんで有名な「池上製麺所」に行った。先日の24時間テレビでも放送されたようだし、ご存じの人も多いであろう。
店を見つけるのに一苦労したが、路地を入ったところにある、小屋のような小さな店先には、すごい行列ができていた。
列に並ぶこと約10分。
天ぷら付きの冷やしうどんを、るみばぁちゃんに注文した筆者は、ちょうどうどんの茹で上がりの切れ目ができたために、しばし、るみばあちゃんの目の前でできあがりを待つことになった。
このるみばぁちゃんが、うどんを足で踏んで捏ねて作っているために、とても腰のあるうどんになっていると有名だが、その足を拝見するに、ツヤツヤで美しいことと言ったらない。
仕事をしている足だなぁと感心していると、うどんが茹であがった。
どんぶりに入ったうどんに、客がセルフで生醤油(この店ではダシが入っていた)をかけ、葱をのせ、注文していたトッピングを載せて、「頂きます!」。
うまい。なんともいえぬほど腰のある、喉ごしの素晴らしいうどんを、あっというまに平らげてしまった。
ブログの記事的には最悪であるが、あまりに美味しかったので、写真をとることもわすれてしまったのである。
外が暑かったので冷やしうどんにしたが、熱い釜揚げの方が食べたくなってしまった。是非また今度。
(E.N. Wrote)