京都の水

井戸水

京都では、神社などで湧き水を頂戴できる所があります。
その1つ、私がたまに水を頂戴するとある神社です。
本殿に参拝した後、ありがたく少しずつ頂戴して行く方もいらっしゃれば、大きな車でやってきて、商売でも???というくらいに、後の人が待っているにも関わらずタンク何本にも水を入れて持って帰る方も……。
水は蛇口をひねればいくらでも出てくる物-ではなく、列記とした資源であって大切に大切に使わねばならない物のはずですが、こうして井戸水をもらいにくる方を何人か見ているだけでも、水に対する感覚は人それぞれのようです。
豊富だと言われる京都の地下水も、昨今の地球環境によっていつまで我々を潤してくれるかわかりません。
茶道を初めて間もない頃のことです。とある茶会での主菓子に、とてもみずみずしく、ほろほろと口で溶けるほどに水を含んだ、ある京都の老舗の菓子司のきんとんをいただきました。
一口いただいただけで、水が支える京都の文化の底力までをも思ったものです。あの感動は今もなお新鮮な記憶として私の中に残っています。
京都が誇る美味しいお茶、菓子、料理、酒、友禅染めなどなど、全て水がポイントです。
梅雨のこの頃、雨降る日をうとましくおもわず、天からの有難い賜り物という心持ちで、紫陽花の花でも愛でながら心軽やかに過ごしたいと思います。