GNPよりもGNH -ブータン-

写真を御願いすると、手を合わせてポーズをとってくれたおばあさん

“Gross National Happiness is more important than Gross National Product.”

これは、1976年12月、スリランカのコロンボにおける第五回非同盟諸国会議に出席後の記者会見席上での、当時21歳(国王就任4年目)の現国王の言葉である(平山修一『現代ブータンを知るための60章』より)。

国王のこの発言に表わされるように、ブータンという国は、国民総生産よりも、国民総幸福量の向上を目指している。
旅の一週間の間でさえ、それを感じる場面は多々あった。


上の写真は、ブータンに着いた日に撮ったものだ。
民族衣装をまとった、なんともいえない表情をしたおばあさんがいたので、「写真を撮ってもよろしいですか?」と聞くと、にこっと笑って拝んでくれた。
今まで私が訪れた国では、写真を撮らせてもらうとチップを要求される事が多々あった為、私は、「やはり手を出されるのだろうか」と警戒していた。
しかし、全くもってそのような事はなかった。
警戒心を持っていた自分がとても恥ずかしくなり、また、なんて失礼な事を思っていたのだろうと反省することしきり・・・。
初日だからとはいえ、ブータンの国の人々にこのような思いを抱いた事を、今はとても悔いている。
ブータンから帰り、一緒に旅をした友人に撮ってもらった自分の写真を見て改めてびっくりする。
「歯を見せて笑っている・・・」。
写真が苦手で、カメラを向けられて微笑む事の出来ない私。
微笑んでいてもとてもぎこちなく、歯を見せて笑っている事などほぼ無いに等しい。
それが、自分で言うのもなんだが、とても良い表情をしているのだ。
自然にそういう顔を引き出してくれるような国なのだと思う。
ブータンの何が魅力か、それはやはり『人』なのだと思う。
いくら美しい自然や歴史有る立派な建造物があっても、物質的に豊かであっても、人の心が豊かでなければ、旅をしていてこのような笑顔にはなれない。
現国王のコメントに、「私達は私達に基本的な事を問う、どうやって物質主義と精神主義とのバランスを維持しつづけるのか」というものがある。
基本的な問題でありながら忘れられてしまったこのバランス。
さて、我が国日本はもうそろそろ真剣にそれを見つめ直す時ではないだろうか・・・。
(N.K Wrote)

市場にいたおばあさんと孫たち

学校帰りの小学生 民族衣装(男性のものをゴ・女性のものをキラという)が制服

修行中の小僧さん