長瀬(名張市・上写真)をあとにし、伊賀上野へ…。
藤堂高虎ゆかりの伊賀上野城や、松尾芭蕉を記念して作られた俳聖殿、芭蕉の五庵のひとつで、唯一現存する蓑虫庵は以前訪れた為、その近くにある伊賀焼の谷本洋さん、あけみさん夫妻のギャラリーへ伺います。
谷本さんの作品は、古典的な伊賀焼に対する真摯なまなざし、お人柄が出るかのようなあたたかみも感じ、それでいてかっこ良くセンスあるものばかりで、伊賀焼といえばお茶人などに愛される陶器ですが、谷本さんの作る作品の凛としたたたずまいは、現代の若者にも「かっこいい」と受け入れられるのではないでしょうか。
伊賀焼のみならず、ヨーロッパ留学で培った独創性ある陶画(陶板)や器の数々も楽しく、また、奥様の作品も他には無い感じで、使い方を模索するのが楽しく、いつまでいても飽きる事のないギャラリーです。
また、こちらの作品には、山村御流による花も生けてあり、これがまたいつ行っても楽しみなのです。
ギャラリーをあとにし、歩いているとこんな列車が!
ぎょっとしましたが、なんだか気になってしかたなく、カワイイとまで思えてくるのがさすがです。
誰かに似ていると思いませんか? そう、メーテルです。実はこれ、石ノ森章太郎さんによるデザインによる「くの一」列車なのでした。どうみても、メーテルが「くの一」になってるとしか思えませんが……。
上野を後にし、今度は伊賀焼の本場、丸柱へ。伊賀焼の窯元がたくさんあるやまあいの地です。
最近有名な、ギャラリーやまほんへ…。現代作家さんなどの展示がよく行なわれています。
併設のカフェも良い感じです。そのカフェでひとやすみし、本を見ていると憧れの土楽窯が予約無しで訪れる事が可能になったとか(ただし、いらっしゃらない時もあるとのこと)。
白洲正子さんとも親交深かった福森雅武さんの窯です。以前から気にはなっていましたが、予約が必要ということで、私のような若輩者が訪れる場所ではないと諦めていました。
これは!と、友人と土楽窯探しです。
看板も何もない土楽窯を探し車を走らせていると、ふと美しい雰囲気を醸し出す家をみつけ、あれではないかと思ったもののいまいちそこまでたどり着く道もわからず、剪定を終えたところの職人さんに聞いてみるとやはりあの美しい家だという事が判明しました。
家って外から見ても、住んでいる人がわかるものですね…。ある意味こわいです。
苔むす庭に井戸、一階の屋根部分まで届きそうなお玄関の蓮、山、田んぼ、溢れる緑、憧れの場所に趣き、美しい器たちを拝見し、心充たされたひとときでした。
京都はもちろん良いけれど、少し足をのばして、信楽や伊賀など、古くからの窯元を巡ると、その土地の文化が学べて楽しいものです。美しいものに触れ、自然溢れる土地に趣く事こそ、身心共に癒しになると思います。
是非皆さまも訪れてみてください(その前に、福森さん著『土楽食楽』、『土楽花楽』など、読んでみて下さい)。