お伊勢参り 1


伊勢神宮 外宮の正宮

子供の夏休みも終わりに近づいたが、まもなく一緒には来なくなるであろう息子と二人で、伊勢に旅をした。
もともとはプールのある温泉付きホテルで、ゆっくりとくつろぐのが目的だったが、それではあまりにもったいないと思い、せっかくなので、お伊勢さんにお参りしてみようということになった。
お伊勢参り、私は実に小学校の修学旅行以来のことである。
ご存じのとおり、伊勢神宮ことお伊勢さんには、内宮と外宮がある。その間およそ6km。まずは外宮からお参りして、続いて内宮へお参りするのが習わしである。
ということで、最初に外宮へ。
まずは御手洗(みたらい)にて、手と口をそそぐことから教えねば。
御手洗での簡単な作法を教えたところ、まじめに聞いてくれた。隣では見ていられないような仕方で手を洗ったりしている人を余所目に、作法ということの大切さ、美しさというものを知ってくれたらうれしいと思っていた。

伊勢神宮 外宮の参道

参道をいくと明らかに空気が異なる。なんという神聖な気持ちになるのだろう。
周辺には樹齢何百年も経ているだろう木々が静かに息吹いている。
鳥居をくぐるときにはお礼をしつつ、意外に近い正宮に参拝する。
一般的な二礼二拍手一礼の礼法を一緒にし、これもまた、大切な文化だよと教えた。



別宮の一つ、土宮

その後、境内にある別宮にそれぞれ参拝し、ふと見ると、少し奥まったところに小さな社のようなものがある。
なにか分からないままにお参りしていると、ちょうどとなりにお参りされていた老人が慣れた様子でお参りされたあと、「あなたたちは、これが何かはご存じですか?」と。どうやら近隣にお住まいの方のようだ。
「恥ずかしながら、知りません」と素直に答えると、これは下の御井戸だと教えてくださった。正宮の近くには上の御井戸もあるとのことだが、そちらは入れないのでお参りできないとのことだ。

下の御井戸

その老人と一緒に参道を戻り始めると、外宮と内宮とでは社殿の千木や鰹木の形が違うことなどを親切に教えてくださった次第。
外宮に祀られている豊受大御神(とようけおおみかみ)は男神だが、内宮は天照大御神(あまてらすおおみかみ)で女神。そんなことが、社殿のつくりの違いになっているのかもしれないと聞いていると教えてくださった。
これで内宮へ行くと、そういう違いも考えながらお参りができそうだ。