深秋のころ -北村美術館-

深秋のころ 北村美術館

河原町今出川近くにある北村美術館では、秋の展観(12/7まで)が始まっています。
今回も、懐石のお道具、濃茶席、薄茶席のしつらえを順に楽しめるような展示となってい、茶事に招かれた感にひたりながら逸品を楽しめます。
また、特別に仏教美術も展示されており、なかでも虎関師錬(こかんしれん/臨済宗 1278-1346)の消息が印象深く、茶をたしなむ者が、道具のみならずこういった禅僧の墨跡を実際に目にする事ができるのは非常に意義深い展示だと思いました。
数々の素晴らしい仏教美術に加え、逸品揃いで私のような者にはいささか重みを感じすぎる濃茶席のお道具。その後、薄茶席の展示にあった鳴滝窯で焼かれた「瓢文」のお茶碗に心癒され、さらにはこの人と言えばなぜか私は「秋」を思う北大路魯山人、そして数寄者が作られた茶碗など、最後は楽しい趣向で展観は締めくくられています。
私設美術館の中でも展示数は恐らく少ない方だといえる美術館ですが、本当に美しい良き物というのは、これだけで充分にお腹が一杯になるものです。
また、展観の題名が毎回素敵で、そこも私がこの美術館を気に入っている理由の1つなのです。
平成二十年春季 -吉野懐古-
平成十九年秋季 -暦年の茶-
平成十九年春季 -山笑ふ-
平成十八年秋季 -漸寒-
虎関師錬については、研究所の『本覚国師 虎関師錬禅師』をどうぞ。