エローラの石窟群最終章、ジャイナ教寺院の紹介です。
インドの主な遺跡をめぐっているとジャイナ教寺院に触れる機会は多々ありますが、特にインドに関心の無い方には、あまり聞き慣れない宗教かもしれません。
その歴史は古く、お釈迦様と同時代を生きたヴァルダマーナを祖師とし、無所有の戒めで知られています。遺跡からもわかるように、ジャイナ教寺院の像は裸の像なのですぐにわかります。現在でも修行僧は布一枚まとわぬ姿で行をされるようです。
また、非常に厳しい殺生戒(アヒンサー)があるため、肉や魚はおろか、耕して収穫する際に虫を殺しているかもしれないとの理由で、根菜類も食さないそうです。
また、宗派によっては、バイクや自転車に乗っていて虫が口の中へ入り殺してしまうのを避ける為、口を白い布で覆っている信者もいるそうな。
その徹底ぶりたるや驚愕せずにはいられません。
階級制度である四姓制(バラモン・クシャトリア・ヴァイシャ・シュードラ)を持つバラモン教に反発し、おこり栄えた宗教である為、バラモンの特権に反発するクシャトリアなどの信者を集めたようですが、あまりにも厳しい戒のため、同じ頃におきた仏教へと流れていく信者も多かったようです。
さて、あまりに我々の日常生活からかけはなれているように思えるジャイナ教ですが、殺生戒(アヒンサー)には、単に生きているものを殺さないという意味のみならず、言葉で人を傷つけたり、心の中で誰かのことを悪く罵ったりする事をも厳しく戒めています。ジャイナ教徒にとっては、これも「殺生」なのです。
生きていく上で人を精神的にも傷つけないというのは当たり前の事かも知れませんが、人間誰しも、生きていれば知らず知らずのうちに人を傷つけて後々になって後悔したり…という事があります。
それをも「殺生と同様」と見るジャイナ教の教えに、はっとさせられました。
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