生活と芸術 アーツ&クラフツ展 -京都国立近代美術館-


アーツ&クラフツ展

京都国立近代美術館では、【生活と芸術 アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民藝まで】が開催中(11/9まで)です。
19世紀後半にイギリスで興こったというアーツ&クラフツ運動。
最初はこの運動の先導者であるウィリアム・モリス(産業革命後に大量生産で粗悪な商品が溢れていたイギリスで、中世の手仕事を見直し、生活から芸術を切り離さぬよう活動しました。リネン類や壁紙、その他様々な生活道具をデザインしました)に関する展示が多く、その次にヨーロッパへと拡がったこの運動の紹介が。
最後には、我が国で興った「用の美」の再発見・再認識、-民藝運動-の紹介。
柳宗悦さんの周りにいた、河合寛次郎さん・黒田辰秋さん・濱田庄司さん等の作品が所狭しというほどに並べられた三国荘の再現は圧巻でした。
ただ…その三国荘の部屋の再現ですが、美しい物が展示されているのと、床の間が見えにくい事もあり、ついつい身を乗り出してのぞき見る人もしばしば。するとその度にけたたましいブザー音が館内に…。どう考えても、何も表示もなく、身を乗り出して見ても仕方のない展示方法。せっかくの空間に嫌な空気が漂いました。
いつも工夫された素晴らしい展観を考えて下さる美術館だけに、非常に残念でした。
さて、イギリスで興ったアーツ&クラフツ運動と日本の民芸運動。
イギリスでは結局、フィリップ・モリスの製品はどうしても値段が高くなってしまい、高所得者層にしか受け入れられなかったという面もあるのだとか。
日本の民芸運動に関しても、作家さんが人間国宝になられたり、そうでなくとも庶民の手には届かぬ物も多々あります。ですが、自分で歩いて探してみつける用の美は、手の届かないような物でもないはず。分相応な物で、長く使えて美しいものを求めたいものです。
〈アーツ&クラフツ展 下記を巡回予定〉
東京都美術館 平成21年1月24日(土)~4月5日(日)
愛知県美術館 平成21年6月5日(金)~8月16日(日)
季刊『禅文化』には、7号にて柳宗悦氏の「井戸と楽」が掲載されています。
既に7号は在庫切れ絶版となり、皆さまからのリクエストで、2007年春の204号にて再度、掲載しました。


美術館内から見る平安神宮の鳥居

美術館内から見る平安神宮の鳥居

美術館近くの川。緑を写してとても美しく。

美術館近くの川。緑を写してとても美しく。


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