昔、中国の禅僧たちは真実の自分を求めて修行することを、「一頭の水迚ッ牛(すいこぎゅう)を飼う」と言ったのです。
自分のなかに具わっている尊い仏性(ぶっしょう)を「牛」としてよく飼い慣らし、立派な人間になろうとしたのです。
これを「牧牛」とか「養牛」とかいうわけですが、誰でも「自分」という牛は、我欲が強くてなかなか仏さまのようにならないのは困ったものです。
しかしこれをうまくセルフ・コントロールできれば、この迷いだらけの自分でも、けっこう人に愛される仏さんのような「白牛」(びゃくご・熟した人間)になれるのですね。
皆さん、今年こそひとつ骨折って自分の牛飼いに励んでみようではありませんか。
禅文化研究所所長 西村惠信
『十牛図-もうひとつの読み方-』西村惠信著
『十牛図-禅の悟りにいたる十のプロセス』山田無文著
『How To Practice ZAZEN』(十牛図の英訳あり)