西国観音霊場 第1番 青岸渡寺に詣る


西国三十三所観音霊場第一番 青岸渡寺

西国三十三所観音霊場の第一番、「那智さん」こと青岸渡寺にお詣りしてきた。
以前から、何ヶ所かの観音霊場にはお参りしてきたが、同じ近畿圏とはいえ、あまりにも那智さんは遠い。車をとばしても、一泊でないと行けない距離なのである。しかし第一番をいつまでも外しておくわけにもいかない。
夏は海水浴客で混み合う和歌山方面なので避けたいのだが、幸いにも、このお正月、電気工事の関係で研究所は例年より1日長めの休みをいただいたので、ここぞとばかりに出かけることにした次第。

青岸渡寺本堂

紀伊半島最南端に近い紀伊勝浦町にある「青岸渡寺」には、如意輪観音が祀られているが、通常は開帳されていないので、直接おがむことができない。今年は三十三所の観音霊場が順番にご開帳されるということになっているが、ここは3月頃とのこと。残念ではあるが仕方なし。
それでもすぐ近くには133mもの落差をもつ名瀑那智の滝があり、お詣りできてよかったという気持ちもふくらんでくる。



那智山の扁額

今までにも何ヶ所も霊場を回ったが、これまではご朱印を求めたことがなかった。しかし、せっかく西国第一番にお詣りできたのだからということで、朱印張を買いはじめてご朱印をいただいた。
これからの観音霊場めぐりの一つのアイテムができた。
本堂に入って観音経普門品偈をあげてお参りしていると、仏前なのに、やたら柏手を叩く人が多いのには驚いた。すぐとなりが熊野那智大社で、その裏にあるのが青岸渡寺なので、位置的に大社の建物のように思っている人が多いのだろうか。

三重の塔と名瀑那智の滝

先ほどご朱印をもとめた本堂前の売店の女性と話したら、とてもお話し好きのご婦人だった。
ほんとに最近はそういう人が多くて、まず大社にお参りして、この本堂の前を通りすぎて、まっすぐ滝を見に行ってしまう人が多く、なんとも悲しくなると嘆いておられた。「どうぞ拝んでいってくださいね」と言っても、「宗派が違う」という修学旅行引率の先生もいらっしゃって呆れてしまうとか。
「今の日本はおかしいです。気高いものに感謝の気持ちが持てない日本人が多すぎる」と……。
そこで、日本の伝統文化、名勝旧跡を、テーマパークのようにめぐっているだけの人たちに、ほんの少しでも意識を持って欲しいと、そして案内するバスガイドさんたちにも、きちんとした歴史を知ってもらいたくてと、ご自分で集められた資料を配っていらっしゃった。
もちろん私もいただいた。これもご縁である。とともに、こういったことをされていることに頭が下がる思いだった。
余談だが、このご婦人のお宅の願い寺は自坊と同じ妙心寺派だということで、これまた話があった次第。
つづく