落葉樹の葉がすっかり落ちてしまったこの季節、我が寺の庭は寂しい佇まいを見せている。昨年は雪で覆われる日も何日かあったのだが、今年は全くといっていいほど積雪がなく庭の変化も楽しめない。
中央にある紅葉の木は樹齢も古くかなり弱ってきており、昔のような目映い新緑と鮮明な紅葉が見られなくなってきているのが残念である。
正月には朱色の実が鮮やかだった千両も、鳥の餌となったようで緑の葉を残すだけとなってしまった。
掃除をする身にとっては、冬の間は一年のうちで一番楽な時期なのだが、手入れを怠っていると美しくは保てない。今年は久しぶりに樹木への肥料も施してみようと思っている。
「ここの庭を見ると落ち着きますね」という檀家さんの声を聞くと、禅寺の庭には人々に与える禅の精神があるのだなと感じる。京都の禅宗寺院の名庭には及ぶべくもないが、田舎寺院なりの純朴な庭の良さを今後も維持していきたいと思う。
※現在発売中の「禅の庭シリーズ 龍安寺」に続き、天龍寺と鹿苑寺(金閣寺)の庭を撮影したDVDビデオがまもなく完成します。一年以上をかけて四季おりおりの景観をハイビジョン撮影したもので、普段見ることのできない貴重な映像も収録されています。どうぞご期待ください。