西国観音霊場 壺阪寺


壺阪寺山門

西国三十三カ所観音霊場の第六番「壺阪寺(南法華寺)」(〒635-0102 奈良県高市郡高取町壷阪3番地)へ参詣した。
一口に西国観音霊場といっても、それぞれのお寺の趣きはいろいろなので、お寺へ到着するまでの想像がいつも楽しい。
このお寺はまず、なにもかもが大きいという印象をもった。境内にはインドで製作されたという巨大な石仏が何体もあり、またお堂もそれぞれが大きく、中国のお寺にでも来たような感覚を味わう。
奈良の観音霊場の中では一番南にあるこの壺阪寺は、浄瑠璃でも有名な、「お里・沢市」の霊験記がのこるお寺で、眼病に霊験があるという、十一面観音が御本尊である。
御本尊は、八角円堂といわれる本堂の中に安置されていて、他の霊場に比べて、ご開帳も比較的多いようだ。室町時代の作であるらしいが、少々ユニークな表情の観音様である。



石仏と三重の塔

壺阪寺の住職が、インドのハンセン病患者に対する慈善事業を行なわれた関係で、インドから送られた石仏などがあるようだが、釈迦の一生を刻んだ石のレリーフは、なかなか楽しみながら見ることができた。
そして、この壺阪寺は、藤原京からまっすぐ南に位置するようで、その間には高松塚古墳などの天武天皇の皇子たちのものである古墳群が一直線に並び、これを「聖なるライン」と呼ばれているようだが、その最南端が壺阪寺ということになるのだそうだ。
歴史の謎は深いが、興味ある不思議の一つである。
八角円堂からは、奈良盆地を見下ろすことができた。またこのお寺は、盲人のための老人ホーム「慈母園」も経営されているようだ。
この景観をご覧になれないのはお気の毒ではあるが、この環境のもとで生活できるというのは安らかなことであろうと思う。

奈良盆地を見下ろす