茶会 於:樂美術館

樂美術館

定期的に樂美術館にて催される茶会に訪れた。
当代が後見をつとめられ、いろいろとお話を聴かせていただけて、楽しく勉強できる茶会だ。
お軸は、表千家中興の祖である如心斎(七代)によるもの。
「茶の湯とは・・・」。この本歌はおそらく、一休禅師の歌かと思う。
  心とは如何なるもの言うやらん
          墨繪にかきし松風の音(一休禅師)
これを、茶の湯とは・・・としていたわけだ。


いつもながら、樂さん(当代)の楽しいお話にこちらまで嬉しく楽しく、本物を味わえた。
樂さんは、こんなことを言ってよいものかとも思うのだが、少年のような無邪気な笑顔をのぞかせる一面があり、お会いする度に、「人とは、何歳になってもこういう一面が大事だ」と思わされる。
一碗目はノンコウ(三代・道入)の黒樂。銘は如心斎の箱書きがあり、「須磨」という。
ぽってりと丸みをおびていて、手にすっぽりと包みやすく、安心感のあるおおらかな茶碗だった。
釉薬はわりと厚めみかかっているはずなのだが、茶碗そのものをぎりぎりにまで薄く削ってある為、大きさに対して、非常に軽やか。
ノンコウの人柄と、その時代背景を思わせる茶碗だ。
利休が生きていた頃、その求めで茶碗を作っていた長次郎(初代)の緊張感とは違っている(と私は思う)。
美術館に飾られたものをガラス越しに見るのみでなく、こういった樂さんの試みのおかげで、実際に茶碗に触れてお茶をいただく事ができる。
樂家にとって大事な茶碗たちを、誰が来るかわからない茶会に出す試みに、感心するばかりである。
現在、ノンコウと親交の厚かった本阿弥光悦の茶碗も数多く展示されている。
近年まれに見る名碗が一同に会している。なかなか無い展示会だ。
是非、足をお運びいただきたい。