-漸寒-
秋の半ばから末にかけての寒さを、次第に、とか徐々に、という意味の「漸(やや)」を使って「漸寒(ややさむ)」といいます。秋の季語でもあります。
禅宗の書物にも、10月頃の事をいうのに、-漸寒-という言葉が使われている事があります。
そんな素敵な言葉を題した展観が、北村美術館で開催中です。
ほぼ茶道具のみの展示ですので、訪れる人もまばらで、ゆっくり御道具を拝見できます。
寄付・懐石・濃茶席・薄茶席など、茶事のシーンごとに道具が展示され、こじんまりとした美術館ではありますが、一つ一つの御道具、お箱書きなどを楽しめるのでお腹いっぱいになります。
茶道の正月と言われる11月、炉開きを迎える前の秋の雰囲気、名残の雰囲気を味わえる御道具達に出会えます。
また、表千家・堀内宗心宗匠が北村に贈ったという、茶事手控えなるものが表装されて出ていました。
拝見するだけで、宗匠のお人柄にふれられるような気がしました。
余談ですが・・・
ここ北村美術館の近くには、李青(りせい)という李朝喫茶があります。
こちらのしつらえは、美術館に置いてあっても良いようなものがセンスよく配置され、本物(李朝白磁の大壺は圧巻)に触れる事ができる貴重な穴場カフェです。
数ある蔵書を、お茶を飲みつつ拝見する事も可能。
冷麺とピビンパも、美味しい美山の野菜がふんだんに使われていて美味。
美術館を訪れた後、是非立ち寄ってみてください。