3月12日~6月2日まで開催の特別展、千家十職×みんぱく -茶の湯のものづくりと世界のわざ-を観に、大阪府吹田市にある“国立民族学博物館”を訪れました。
千家十職(せんけじゅっしょく)とは、茶道具全般を作る十の家の事です。その歴史はそれぞれ300~400年ほどで、11~17代目を数えます。
【金物師】 中川淨益家
【表具師】 奥村吉兵衛家
【竹細工・柄杓師】 黒田正玄家
【袋師】 土田友湖家
【土風炉・焼物師】 永樂善五郎家
【茶碗師】 樂吉左衛門家
【釜師】 大西清右衛門家
【一閑張細工師】 飛来一閑家
【塗師】 中村宗哲家
【指物師】 駒澤利斎家
代々に亘って、家元をはじめとする様々な茶人をうならせるほどの物を作り続けて来た職家。
その職家の当代や後嗣が、「民博の所蔵品にインスピレーションを得て、何か新しい物を創造する」という初めての試みなのでした。これはもう、面白くないわけがないのです!
あくまでも「職人である」という事で、なかなか表舞台には出てこられない方もいらっしゃる為、そのお考えを知り、どのように制作に携わっていらっしゃるのかを垣間見る事はなかなか叶わない事なのです。
千家十職の当代が選ばれた民博所蔵の世界各国の楽しい道具、美しいものも楽しめて、さらに千家十職の随一の技をも堪能できるという、普通の展示よりも何倍もふくらみを持つ、素晴らしい展観でした。
「千家十職のお道具を展示しますよ」というだけの展観であれば、茶道をたしなんでいる方ばかりしか足を運ばないでしょう。大変な企画を考えられたものだなぁ……と、裏で奔走されたであろう民博関係者の方にも讃辞を送りたい気持ちでいっぱいです。
敷居が高いと思われがちな茶道の世界ですが、この展観で、少しでも身近に感じていただき、また、他国の文化を知り、尊敬の念を抱く事によって、自国の素晴らしい文化をも見直すきっかけとなればと思いました。