「はるばると 登れば 書写の山おろし 松の響きも 御法(みのり)なるらむ」
西国観音霊場では最も西に位置し、西の比叡山とも呼ばれる、第27番の書写山圓鏡寺にお詣りしてきた。山裾から参詣用のロープウェイで山頂まで上り、三十三観音に見守られあがら、木々に覆われた参道を登ること約20分、摩尼殿の下に到着。
摩尼殿に祀られるご本尊は六臂如意輪観音(開山性空上人が弟子の安鎮に命じて彫らせた)で、6月末までご開帳されていたので、間近でそのお姿を拝ませていただくことができた。
ご朱印をいただき、さらに奥にある三つの堂へ歩く。
途中には樹齢七百年とされる杉の巨木や、ツガなどが静かに参詣者を見下ろしている。
さて、下の写真、どこかで見た覚えがないだろうか。
有名な話ではあるが、トムクルーズ主演の映画「ラストサムライ」のロケ地となった場所である。
下の写真の右手にあるのが大講堂、正面が食堂(じきどう)、左手が常行堂である。
参詣したとき、運のいいことに、大講堂で「性空上人像(国重要文化財)」を拝することができた。この像は鎌倉期にできたもので、普段は開山堂の厨子の中にあり、一切目にすることができないのだが、今年4月28日から5月10日まで東京国立博物館において「特集陳列・平成二十一年新指定国宝重要文化財」に出展されていたあと、圓鏡寺に戻ってきたが、この6月の一か月間だけ、大講堂で特別公開されていたのである。説明されていた方も、長年勤めているが、今回はじめて見たと仰っていた。
この木造の頭部には、骨壷があり、その中に骨が入っていることがX線撮影で確認されたということだ。
知らずに行った私だが、いいご縁に巡り会えたものである。