「DVD 禅僧が語る」シリーズの続編撮影のために、厚い雲に覆われた梅雨空の中、建長寺派管長である吉田正道老師のおられる、鎌倉・建長寺の小方丈を訪ねた。
今回は関東での撮影のため、撮影スタッフのほとんどは東京から出てもらっている。1時間半ほどかけてのカメラや照明装置のセッティングを終え、インタビューが始まった。
禅については全く素人であるインタビュアーの金子あいさんに対して、非常ににこやかに丁寧に、ご自身の若い頃のお話などもまじえながら、お話していただけた。特に小僧に出された頃、寺が嫌で逃げて帰った時、病床の母から言われた言葉が厳しかった話など、心を打たれる話だった。
このDVDのタイトルは未定ではあるが、私の中ではこれだな、という言葉も見つかっている。
また本シリーズで既にご登場いただいている、永源寺派管長の篠原大雄老師とは、建仁寺で竹田益洲老師の元で共に在錫されていた仲であるので、共通した話がお聞きできて興味深かった。
こちらが用意していた質問にも的確にお応えいただき、約一時間半でインタビューは終了。
お昼を挿んで、ご揮毫のシーンである。
半切に「本来無一物」とお書きいただいた。
墨蹟を書かれる部屋は、小方丈の二階。書かれたばかりらしい達磨画賛が乾燥のために部屋に吊るされていた。頼まれるとかなりの枚数もお書きになるとのこと。
この部屋から山内の伽藍を俯瞰できるのは、本来、管長様だけなので、一般の人には不可能なことだが、あまりに景色が素晴らしいので、許可を得て撮影させていただいた。
ご揮毫のシーンのあと、今度は、山内を案内していただくシーンを撮影。音声無しのシーンではあったが、管長は金子さんに、それぞれの伽藍を丁寧に説明されていた。
普段から歩くのが好きで一日に15000歩は歩かれるという吉田正道老師は、小柄ではあるが泰然自若で、なおかつ「かっかっかっ」と大きな声で笑われたのが印象的である。