五合庵・国上寺行の続きである。
国上寺の各堂宇から、山を下っていくと、ふと左手に香児山(かごやま)という小さな塚のような丘があり、そこには上のような石像が林立している。丘の上には小さな廟もあった。
この地は天香児山命伊夜比古(あまのかごやまのみこと いやひこ)の神が鎮座された場所ということで、弥彦神社の神が御神託をされた廟所であるとの札がある。つまり、国上寺を建立するように託宣された場所なのであろう。
神々しい空気に包まれ、石段を一段一段降りておくことになる。
すると、ひっそりと五合庵がたっていた。横には良寛さんの句碑も建っている。
五合庵の中には、良寛さんがお酒を好んだことからか、日本酒が供えられていておかしかった。
ただ、まいったのは蚊の大群に襲われたことだ。この五合庵辺りにだけ多いので、ひょっとするとこれは、良寛さんが虫を殺すようなことをせず、慈愛に満ちた人であったから、蚊もこの地を選んで住んでいるのではないかと思えたのだった。
『良寛和尚逸話選』(禅文化研究所発行)