大切な人に手紙を送る際には、便箋や切手などには特にこだわりたいと思っています。
まだ唐長の美しい便箋やハガキが修学院でしか買えなかった頃から、時折訪れては買い求めていました。
最近では四条烏丸のお店(古今烏丸内)にて求めやすくなり、個人ブログや雑誌などでもよく紹介され、便箋やハガキのみならず、様々な美しい商品を扱っておられ、御存知の方も多い事と思います。
そんな唐長にまた新たなひろがりが!
お弟子さんが独立されるというのです。これは!と、西陣にできた新しいお店にさっそく伺ってみました。
-かみ添-
町家を改装された店内には、ほんのりと優しい灯りがともり、壁や襖に貼られた紙の美しさを存分に引き出しています。光のあたる角度によって、様々な表情が見え隠れします。
水玉のようなこの模様は、かみ添さんのブログによると、 「無音」(ムネ)と名付けられているとの事。ぼたん雪がシンシンと降っている音の無い世界を表しているそうな。
大切な人と語り合う時には、テレビや音楽をつけずに、こういった景色が共にあると、落ち着いて安心して様々な事を語り合えそうですね。そう思うと、“かみ添”という屋号がとてもよくわかる気がしてきます。職人さんによって魂を入れられた紙が心に寄り添ってくるような印象を受けます(私の勝手な解釈です)。紙が、生活にも心にも添って存在する感じでしょうか……。
さて、上写真。店内の襖と、ご主人の嘉戸浩(かど・こう)さん。
代々の版木を持つ唐長とはまた違った、とても面白い文様に惹かれてお聞きすると、モロッコの文様なのだとか。これからもインド更紗やインドネシアのバティック(蝋纈染め)などの版木を使って、様々な文様を作りたいとの事。
タイムリーな事に今年インドネシアへ旅行した私は、バティック工房で見た様々な版木の文様が頭に浮かび、想像するだにそういった版木で作った唐紙ができれば楽しそうだなとわくわくしてしまいました。
また、壁に貼られた“無音”も、上の襖に貼られたモロッコ文様の紙も、段貼りになっているのがおわかりいただけますでしょうか。襖だと、1枚の大きな紙ではなく、12枚の紙を張り合わせているわけです。
紙と紙が重なり合う事で、1枚の紙を貼るのとはまた違った景色があらわれます。嘉戸さんは昔ながらのこの段貼りがお好きだそうな。最近ではあまり見られなくなりましたが、寺院の襖や茶室に素敵だなと思った次第です。
これからも様々な新しい仕事をされて、広がりをみせそうなこちらのお仕事を是非皆さんに紹介させていただきたいと思い、書かせていただきました。
京都に来られた折には是非お立ち寄り下さい。臨済宗本山の大徳寺も近いですし、並びにある“かね井”さんは、私が京都一好きなお蕎麦屋さんです。
ブックカバーに、贈り物の包みに、壁掛けに、様々な使い方が楽しい唐紙
-かみ添-
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