今、映画館で『火天の城』が上映中である。ご存じの通り、信長の安土城建築にまつわるものである。
秋晴れのいい天気の午後、近くに住んでいながら、久しく登ってない安土城址を訪ねてみた。
築城の時、石が足りずに、こんな石仏までを階段に使ったりしているのである。あちこちの石仏にはお賽銭が供えてあるのを見て、ちょっとホッとする。
安土城址一帯は、前にブログ禅でも紹介した臨済宗妙心寺派摠見寺の寺領である。
昨年くらいから、現住職の摠見寺再建に発願により、安土城址に入るには入山料が必要となった。また土日には、摠見寺の特別拝観も行なわれている。
上記『火天の城』の上映に加え、最近、TVでの「世界不思議発見」での紹介や、名古屋ローカルTVの「ウドちゃんの旅してごめん」という番組でも紹介されたため、土日ともなると、かなりの観光客が訪れているようだ。
映画『火天の城』も観たが、壮大な計画をうまく描かれており、実際に、この安土城址を訪ねると、その現場にいるような気持ちがして楽しめると思う。
天守閣の跡はこんな状況だが、回りに石組みも残っていて、この基礎石の上に柱が建てられ……と映画を思い出しながら想像するのである。
階段の登り降りは少々きついが、こんな石蕗(ツワブキ)が綺麗にさいていたりして、心を和ませてくれる。
そして、天守閣からは、安土山の北側を遙か彼方まで望める。今は干拓されて陸地になっているが、安土城を建てていたころは、この山の下まで琵琶湖の内湖であったのだ。
天守閣址をあとにして、摠見寺跡へ移動する。現在、山の下の方にある摠見寺は、仮のもので、本来はこの頂上近いところにあったのだ。今も三重の塔(重要文化財)が残っている。
この三重の塔は室町時代中期の享徳3(1454)年にできている。つまり、安土城が建立された天正7(1579)年よりも古いわけであるが、この塔は摠見寺建立時に甲賀の長寿寺より移築されたものであるからだ。
摠見寺跡から眼下に見えるのは、安土の西の湖で、地場産業の真珠の養殖や、葦の群生などを見下ろすことができた。