「なぜわたしたちではなくあなたが?あなたが代わって下さったのだ」。
当時、差別を受け、身体のみならず、心も患っていたハンセン病患者の希望の光となり、その治療に生涯を捧げた精神科医・神谷美恵子さんが長島愛生園を訪れた際に詠んだ有名な詩の一文です。
現在、思文閣美術館にて、「神谷美恵子が残したもの」が開催中です(12/20まで)。
神谷美恵子さんといえば、我が母校にて教鞭をとられた事もあり、また私のゼミでは彼女の著書が課題図書でした。
学生時代、『人間をみつめて』(朝日選書)の一文、
「生命への畏敬ということをシュヴァイツァは言ったが、私は宇宙への畏敬の念に、このごろ、ひとしおみたされている。科学の武器をもってさえ、その全貌を把握できないこの宇宙の中で、私たちは“意識”ある生命を与えられた。この意識をもって宇宙を支えるものに賛歌をささげたい。それをささげうる心が人間に与えられたことを感謝したい。こういう広大な世界を、小さな心で思い浮べることこそ人間に与えられたおどろくべき特権であると思う。」
が特に大好きで、この本を繰り返し読み、また事あるごとにこの一文があるページをめくっていました。
栄西禅師の「大いなる哉 心や」にも通じます。
展観では、神谷美恵子さんの生い立ちから、どのように精神医学の道へと導かれたのかなど、とても詳しく拝見する事ができます。
今まで深くは知らなかった彼女自身についてを知る機会を得て、久々にまだ読んでいないものを一冊ずつ読みすすめようと思いました。
とてもオススメの展観です。是非おでかけください。