世の中のみなさんは、お坊さんに対してどんなイメージを抱かれているのだろうか?
「生臭坊主」とか「坊主丸儲け」というような厳しい評価はもうすっかり定着(?)してしまっているような感もあるが、たとえばテレビで禅宗専門道場の修行について放映されると、かなり反響がある。
「うちの和尚さんはざっくばらんに見えても、あんな凄い修行をやってこられたんだなあ」と認識を新たにされる檀家の方も結構多い。
つまり日本の寺や僧侶については、檀那寺に関してさえも、案外知られていないのが現状ではないか。昨年暮れに『坊主DAYS』(杜康 潤〈とこう じゅん〉著、新書館発行)というマンガ本が出版された。
著者の実家は臨済宗のお寺で、お兄さんが住職を務めておられるようだが、この本には自分が育った寺の行事や日常生活、お兄さんの修行のことなどが、実に分かりやすく正確にユーモラスに描き出されている。
日本の禅宗寺院の実情は、これを一読すると結構理解できるのではないかと思われるほどである。西欧諸国を形作っている文化・文明はキリスト教を抜きにしては語れないが、「日本の仏教も人々の日常に深く入り込んでいて、これを抜きにして日本人の思考形式や日本文化を考えることは難しい」と、日本学を専攻している外国の研究者たちが努めて日本仏教を知ろうとする傾向にあるのは、研究所の仕事を通して日々実感していることだが、この一冊は、日本人がそれを再認識するのに結構役に立つのではないかと思われてくる。
著者は早稲田大学の出身で、このマンガがデビュー作のようだが、この作品で、かなり真面目に的確に客観的に、現代日本における仏教という現象とその底力(そこじから)を描き出されているように思われる。
一冊777円。仏教的なものに真っ向から反対することも、また無批判に受入れることもできない方々に、是非オススメの一書である。