堀文子 -いつくしむ命-  -香雪美術館-


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瀟洒な住宅街の中にあり、美しいお庭には四季の花々が溢れるこじんまりとした大好きな美術館、-香雪美術館-。茶道具の展示などが多い事から、昔から好きでよく訪れていた。
いつも私を豊かな気持ちにさせてくれていたこの美術館にて、大好きな堀文子さんの絵を堪能できるとは、至福の時になるに違いない!とでかけた。
庭の枝垂れ桜はまだ固い蕾のままであったが、八重の枝垂れ桃が満開で、そのもとには人々の笑顔が溢れていた。



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この世に生を受けたものはやがては滅びる、やがて死が来る……という事をなんとなく知っているようで、本当は全く知らない私達。
堀文子さんはあらゆるものが必死に生きる姿を、本当の孤独と自由の中でみつめたからこそ、“生きる”・“死ぬ”ことへの理解も我々とは次元が違うのだ……と、彼女の生き様が現れた作品群に圧倒されて言葉が無かった。あらゆる生命への畏敬の念が、どの作品からも溢れていた。
「私は(俺は)自由に生きるんだ!」と言いながら、社会のしがらみからは本当には抜け出せないで、単に好き勝手に我欲のままに生きている人間は、一度堀さんの作品と生き様に触れるのが良い。「自由に生きる」なんて事はそうは言えなくなるだろう。
「自由は、命懸けのこと」。
「群れない、他人に頼らない、慣れない、がモットーです」。 堀文子『ひとりで生きる』より
堀文子さん、御歳90歳。まだまだ知りたい事や興味ある事が溢れているとの事。我が茶道の師は御歳80歳。「私なんてもうこの歳だから…」などという発言を聞いた事が、10年師事しているが一度も無い。強い。
将来、少しでもあのようにありたい!と願いながらも、どうしようもなく弱くもろく、空回りしつつ、なんとか今を生きている私である。
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