白隠禅師仮名法語の板木


20100323-1.jpg

禅文化研究所で、平成7年から7年間にわたり行なっていた、「特別事業 『白隠禅師自筆刻本集成』」。
白隠禅師みずからの筆跡を梓に刻んだ仮名法語本は、残された原版本も少なく、散逸の危機に瀕していたため、現存する最良の版本を元に、旧来の伝統的な木版技術によって忠実に模刻し、長期保存に耐え得る和紙に刷り、禅師の息吹を伝える往時そのままの木版本として完全に復元したのが、この事業であった。
当時、最良とされる版本のコピーを取り、それにホワイトを塗って汚れを消すという肩の凝る作業を、長い間やっていたことを思い出す。汚れを取ったコピーは、中国に送られ、中国にて木版を作るということだった。日本人でも読めないような変体仮名の法語を中国人が刻るというのだから、なかなかスリルのある仕事であった。
さて、その結果は上々で、日本で丁寧に製本され、出来上がった版本は、特別事業賛助者に頒布されたのである。
その折に使われた版木は、全冊の印刷完了後に日本に送られてきたので、ずっと弊所で保存していたのだが、保存場所としていたところが使えなくなってしまうため、このたび花園大学の国際禅学研究所で預かっていただくことになった次第。
国際禅学研究所には、当時、禅文化研究所で、この事業を中心となって牽引されていた、芳澤勝弘教授がおられる。白隠研究の第一人者だ。

20100323-2.jpg