没後400年特別展覧会 長谷川等伯 -京都国立博物館-


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京都国立博物館で開催中の、長谷川等伯展へ。
特に好きだというわけでもなく、とにかく「これだけの作品が集まるのだから行っておこう」と、金曜日の夜を狙って訪れてみた(金曜日は夜8時まで開館)。遠方からの人は少ないだろうし、金曜日の夜に何も好き好んで美術館なんて皆行きやしないだろう…と思ったのが甘かった。皆同じ事を考えるのか、なかなかの人出。ただ、土日よりはましなのかもしれない。
最後の部屋に、「松林図屏風」が。墨一色の世界。もう何の迷いもないその筆使い(というのでしょうか?)に、彼の人生そのもの、歩んで来た道が刻み込まれているような気がして、彼の心の深淵部分を垣間見るようであった。あの屏風を描くのに要した時間はいかばかりか。大作のわりに時間をかけずに描かれたのではないだろうか。
時間をかけずとも、彼の人生が詰まった松林図屏風をしばらく眺めていると、濱田庄司(陶芸家)の、「60年が凝縮された15秒の釉薬がけ…」を思い出した。
さて、等伯は将来有望であった長男を26歳(だったか25歳?)で亡くしているらしい。その息子の死が、彼の作風により深みを出したのは皮肉な事だなぁ…。と思いながらも、それでもこれが人間世界なのだな……と。
一人の絵師の作品を時代を通して見られるのは、やはりなかなかに良いものだな……と、思った以上に感動した金曜の夜であった。
臨済宗寺院所蔵の宝物も、数多く出展されている。是非期間中にお運びいただきたい。