金剛能楽堂を訪れました。
今回の番組は、-猩々乱-。
曲の中で、乱(みだれ)という舞が舞われます。
猩々とは、中国の想像上の怪獣で、海中に住み、猿に似て体は朱紅色の長毛でおおわれ、顔はヒトに、声は小児の泣き声に似て、人語を解し酒を好むといわれます。
また、猩々緋といわれる色が日本古来の色にあり、戦国の武将はこの色を好んで陣羽織などに使いました。
金剛流お家元のこの日の装束も、足袋以外は赤 赤 赤!!! といった感じで、猩々が海に住むことを表わす意味もあるのか、装束には、青海波(せいがいは)の模様がありました。
また、能では、摺り足が基本で、かかとを上げる事はまれですが、この舞にはつま先立ちの場面もあれば、足で青海波の模様をあらわすようなステップ(ステップといったほうが良いくらいの足さばきなのです!)もあり、いつもとは違う様子に見入ってしまいました。
金剛流は、舞金剛と言われるだけあって、特にお家元の舞は力強く、朗々たるお声にも圧倒されます。
また、何度か訪れていながら、今回初めて知ったのですが、金剛能楽堂の場合、他の能楽堂とは違い、橋掛かり(舞台の左にある廊下のような所です)の壁に青海波の模様があります。
これは、元々、金剛家が宮中に上がる事を許された家である事から、宮中と同じ模様を使う事を許されたとのことでした。
今回は、京都新聞社主宰で、夜の6時半から始まる上、チケットは2000円。
このように気軽に足を運べる会もありますので、皆さんも是非一度訪れてみて下さい。
秋の夜長に幽玄の世界を楽しめました。