冷泉家 王朝の和歌守展 -京都文化博物館-


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今週末(6/6)まで開催中の、「冷泉家 王朝の和歌守展」をようやく拝見しにでかけました。
冷泉家といえば、天皇が東京へ移る際に留守居役を任され、京都に残ったお公家さん。藤原俊成、定家、為家を祖に持ち、歴代が宮廷や武家の歌道師範をつとめました。
茶の湯を稽古する者にとっては必須!さらさらとかな文字を書けるようになりたい!…と、年初より書道の稽古を始めた私。かな文字に取り組むにはあと何年かかるのか…といった具合ですが、今回、美しい料紙やそれぞれに個性ある流れるような文字に、一気に王朝文化の雅びな世界へと誘われ、とても良い刺激を受けました。
また、「茶の湯の稽古をするのなら、和歌も必須だよ」と、ある人に言われた事がありますが、確かに師匠も、そのまた師も和歌の勉強をなさっていました。
なんと奥深い日本文化でしょう。どの道も繋がっています。
さて、この展観では、長きに亘り受け継がれて来た冷泉家の宝(教科書でしか記憶のない鎌倉・平安時代の歌人達の直筆が目の前に…)に加え、古式ゆかしい冷泉家の四季の行事なども紹介されています。様々な困難の中、冷泉家の代々当主とその周りの人々が、国の宝といえる文化を守り伝えてきてくださった事に感謝せざるを得ないのでした。
6月6日(日)までです。是非お運び下さい。
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「やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざしげきものなれば、心に思ふことを、見るもの、聞くものにつけて言ひ出だせるなり。花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。力をも入れずして天地(あめつち)を動かし、目に見えぬ鬼神(おにがみ)をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、たけき武士(もののふ)の心をも慰むるは、歌なり」 『古今和歌集仮名序』 紀貫之
なんて美しいのでしょう。日本に生まれた事を誇りに思う事のできる名文中の名文です。幾度目にしてもその度に感動します。