今頃、螢の出る名所では、どこもホタル祭と称して、大にぎわいのことだろう。
私が子供の頃には自坊の庭に蛍が飛んでいたのを、おいかけていた記憶が鮮明にある。
高度経済成長とともに、自坊のあたりの里川にも、富栄養化した家庭の排水が流れ込み、めだかも姿を消し、蛍も見えなくなってしまった。
それが、うれしいことに、ここ数年、一気に蛍が戻ってきたのだ。
どうやら田舎にも下水が整備されて、家庭廃水が里川に流れ込まなくなったためだろう。
裏の小川は、夕方から舞い始める蛍を見るために、近所の子供たちも集まってくる。
でもじつは、その子供たちより大人の方が喜んでいるのがよくわかる。
そういえば、この川には最近、つがいのカワセミも飛んで来るのだ。
田舎とはいえ、近くをJRの東海道本線が通っているところで、僻村といったわけではない。
お国は安定しない政府内閣で、ドタバタしているが、夜に蛍をみてゆったりした気分になるのは悪くない。