バティック作りの版木
インドネシア旅行記のつづきです。
どの国を旅しても、“布”が気になる私です。
その道に詳しい方に尋ねると、ジョグジャカルタの町には、昔は草木染の工房もいくつかあったようですが、現在の工房は化学染料?を用いているとの事でした。
近代化の波は、インドネシアの伝統的かつ素朴な染め物にも押し寄せているようです。
それでも、観光客向けとはいえ、工房を見学するのは楽しく……。
インドネシアバティックについては、以前細見美術館での展観を興味深く拝見しましたので、この旅行でも工房を訪れるのを楽しみにしていました。
このように、チャンティンと呼ばれる銅製の道具を使い、ロウによる防染を繰り返し、複雑な文様を染め上げてゆきます。繰り返し、繰り返し…。気の遠くなるような作業です。
版木彫り専門の職人さんもいらっしゃいました。
こちらはチャンティンではなく、版木でロウを置いてゆきます。型がずれないように慎重です。見ているこちらが緊張して呼吸を止めてしまいます。
さて、冷めた意見かもしれませんが、自身の目に自信が無いにも関わらず本物の素晴らしいものを求めたい(←この時点で邪道かもしれませんが…)というのならば、京都にはインドネシア更紗を専門に扱うショップなどもありますので、バティックの専門家である目利きの店主が選んだ中から好みに合うものを選ぶ…というのも、間違いが無く賢いのかもしれません。
「家のインテリアとして楽しめればそれでいい」と手頃な価格の物を旅の思い出として求めるのも、またそれはそれで良いのでしょう。
化学染料?!観光客向け?!とはいえ、工房で一番に目に入ってきた限りなく精緻な文様がほどこされた布は、日本円にすると4万円ほどしていました…。頑張って値切って半額になったとしても良い値段ですね。それでも欲しくなるくらいの美しさでした…が、個人的に私がインドネシアの布を求めるならこちらから…と以前から願っている所があるのです。
日本人女性が自身で職人さんを指導し、工房を持ち、これ以上の美しさは無いと思えるような見事な布を少しずつ世に送り出しています。
日本人女性の繊細さと細部にわたるまでのこだわり、そしてインドネシアの誇るべき伝統、インドネシアの職人さん達の魂が見事に調和し、最高の物を作り出している感があります。一目見ただけでハッと息をのむ美しさがその布にはあります。
またいずれ、機会がありましたらご紹介をと思っています。