柳田聖山 著
A5判・466頁
ISBN978-4-480-32302-6 C1315
この巻では、敦煌発見の初期禅宗史書のうち、最も古い二種を選んで、若き日の中国禅の生い立ちをうかがう。いずれも、いわゆる北宗禅の記録であるが、やがて独自な中国禅の展開を導く古典としての価値をもつ。あたかも、日本で古事記や書紀が作られるのと同じ頃、中国の仏教界では、ダルマにはじまる新しい実践仏教としての禅宗のオーソドックスに関する議論が高まり、種々の異なった主張をもつ史書を生んだのである。とくに後者は、チベット訳もあることがわかり、初期チベット仏教の形成に与えた中国禅宗の影響も見逃せぬ。
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