白隠禅師法語全集 第1冊 邊鄙以知吾・壁訴訟

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邊鄙以知吾は、岡山藩主池田継政に宛てた仁政を勧める書。大名の奢侈な生活が一揆を引き起こすとし、さらには、参勤交替の行列などはなはだ無駄であると激しく批判した為、絶版禁書に処せられました。壁訴訟は、三島代官伊奈半左衛門の善政をたたえ、宿場役人に代ってその留任を願う内容。各地に起こっている一揆に触れ、蜂起せざるを得ない百姓に同情を示す。どちらも、現代社会で上に立つ立場である者に対しても通じる事が書かれています。何者に対しても本気でぶつかっていた白隠禅師の生涯を垣間見られます。
訳注 芳澤勝弘 四六判 358頁 1999.5 発行
ISBN978-4-88182-131-2 C0015

【本文より抜粋】
武士たるもの「千日養われて一朝の急を救う」のが本文であるのに、いつも美婦人に囲まれ美酒を飲み、わけのわからぬ遊芸に耽り軍馬の調錬などまったくせず、武芸にも拙く弓箭をとるにも手馴れないありさまである。もし国家の大事があって、鉄砲をうち槍刀をつらねて戦う時になっても、日ごろ練習しておかぬ御経は、急に仏事があっても誦めないようなもので、何の役にも立たぬであろう。先祖代々ご恩をこうむった御主君が敵に取り囲まれ、あるいは慈育していただいた父母が雑兵の手にかかって責め殺される様なことになっても、一顧すらもできず、ただわなわなとおびえ震え、裸馬にはい乗ってあてどもなく逃げまわるだけである。こんなありさまで、千載の後までの笑いものになって、何とするか。
在庫あり
2,750  (税込)
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