白隠禅師法語全集 第3冊 壁生草 幼稚物語

ITUMA
本書は禅師の最晩年に書かれた自伝である。禅僧の行履は、たいていはその弟子によって編まれた行録・行状といった年譜などで知れるのだが、白隠禅師の場合は、このような自伝および自伝的記録が多いのが特徴で、これらはまた禅師の生涯研究の好資料となるはずである。また、本書の原文は、「狂文体の漢文」で書かれたものであり、日本語としても漢文としてもはなはだ読みにくいものである。そのためか、これまで広く読まれて来たとは言いがたい。訓注や現代訳がほどこされるのは今回が初めてのことである。
訳注 芳澤勝弘 四六判400頁 1999.9 発行
ISBN978-4-88182-133-6 C0015

【本文より抜粋】
それからは、ひとり背骨をたてて、明け方まで打坐した。その夜は一晩中、はなはだ恐ろしい鬼怪の事が起こったのだが、文が長くなるのでここには記さない。翌朝、例の桶を開けて、左手で一つかみの米をすくって粥を作り、これを一日分の食糧に充てた。夢窓国師の串柿半顆にくらべてどうであろうか。それからは毎日このようにして過ごしたが、一月余りを経ても、少しの飢渇を覚えることもなく、身心ともに元気で、夜は坐禅、昼は誦経に、ついに怠ることなかった。その間、大悟小悟を体験すること数を知らず、歓喜に躍り上がることもどれくらいあったか分からぬほどであった。大慧禅師は「大悟十八度、小悟数を知らず」と言われたが、その言葉が嘘ではないと実感したのである。
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