白隠禅師法語全集 第5冊 八重葎 巻之一

YAE1
【本文より抜粋】
 この話でも分かるように、法を説いて人をすくっていくという行為ほど貴いことはないと思うのである。あらゆる善行の中でもっともまさるのを菩提心と言う。これを実践することを、悟後の修行と言う。こういう大切なことを知らなかったために、多くの智者高僧でさえも、昔から往々に邪道に堕ちてしまったのである。
 今、世間には多くの国王・大臣・長者など福貴自在の恵まれた境遇の人たちがいるが、これらの人々はその過去生においては、あらゆる善行を積んだ、智行兼備の高僧か大善人だった人たちである。みな過去世において、来世は浄土に生まれ成仏しようと、つとめて万善を行じ尽くしたのだが、ただ見性の眼が開けず、仏国土の因縁、菩薩の威儀ということを知らず、法を説いて人をすくおうという菩提心がなかったがために、成仏どころか、浄土のかたはしも見ることができないでいるのである。とは言っても、過去世で積んだ善行は尽きることがないから、この世には福貴自在の恵まれた身分に生まれたのである。
―「菩提心の実践が悟後の修行」より
訳注 芳澤勝弘  四六判 260頁 2000.1.27 発行
ISBN978-4-88182-135-0 C0015
在庫あり
2,530  (税込)
+
シェアする

関連書籍

HAKUINTAI
数多く残された、多彩な書画に込められた全体像に迫る為、作品に込められた意味を細かく解説するとともに、名僧の言葉や健康法を紹介。
また、生い立ちなど、「五百年間出の高僧」と称された人物の魅力をも伝える、白隠入門決定版!

平凡社 刊
芳澤 勝弘 (監修)/ 山下 裕二 (監修)
在庫あり
2,640  (税込)

HEBI
「邊鄙以知吾」……岡山藩主池田継政に宛てた仁政を勧める書。大名の奢侈な生活が一揆を引き起こすとし、さらには、参勤交替の行列などはなはだ無駄であると激しく批判する。そのために絶版禁書に処せられた。
「壁訴訟」……三島代官伊奈半左衛門の善政をたたえ、宿場役人に代ってその留任を願う内容。各地に起こっている一揆に触れ、蜂起せざるを得ない百姓に同情を示す。訳注 芳澤勝弘 四六判 358頁 1999.5 発行 ISBN978-4-88182-131-2 C0015
在庫あり
2,750  (税込)

IHARA
一念発起してわずか数夜で見性成仏した、平四郎の物語等々、白隠に私淑していた居士大姉に宛てた、手紙7編による法語物語。訳注 芳澤勝弘  四六判 250頁 2002.2.20 発行
ISBN978-4-88182-144-2 C0015
在庫あり
2,530  (税込)

KANA
○新談義……人々本有の仏性を説き、隻手音声の公案に参ずることを飴売りの辻談義をまねて民衆に勧める。○ちりちり草……巻一とは別内容で、神道と仏教との関係を、行基菩薩、由良の法灯国師の例などをあげて述べる。岡山に巡錫した折の体験も記されていて、伝記資料としても重要。
訳注 芳澤勝弘 四六判 290頁 2000.10.31 発行
ISBN978-4-88182-139-8 C0015
在庫あり
2,530  (税込)