白隠禅師法語全集 第5冊 八重葎 巻之一

YAE1
【本文より抜粋】
 この話でも分かるように、法を説いて人をすくっていくという行為ほど貴いことはないと思うのである。あらゆる善行の中でもっともまさるのを菩提心と言う。これを実践することを、悟後の修行と言う。こういう大切なことを知らなかったために、多くの智者高僧でさえも、昔から往々に邪道に堕ちてしまったのである。
 今、世間には多くの国王・大臣・長者など福貴自在の恵まれた境遇の人たちがいるが、これらの人々はその過去生においては、あらゆる善行を積んだ、智行兼備の高僧か大善人だった人たちである。みな過去世において、来世は浄土に生まれ成仏しようと、つとめて万善を行じ尽くしたのだが、ただ見性の眼が開けず、仏国土の因縁、菩薩の威儀ということを知らず、法を説いて人をすくおうという菩提心がなかったがために、成仏どころか、浄土のかたはしも見ることができないでいるのである。とは言っても、過去世で積んだ善行は尽きることがないから、この世には福貴自在の恵まれた身分に生まれたのである。
―「菩提心の実践が悟後の修行」より
訳注 芳澤勝弘  四六判 260頁 2000.1.27 発行
ISBN978-4-88182-135-0 C0015
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2,530  (税込)
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