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ブログ禅
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禅文化研究所のブログです。
2024年5月までのブログ記事はこちらからご覧いただけます。
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2025/03/03
禅宗語録 入門講座「禅を読む」レポート
さる3月1日(土)、東京湯島の麟祥院にて禅宗語録の入門講座「禅を読む」を開催いたしました。禅ばなれが叫ばれる昨今、定員80名を超えるお申込みをいただき光を感じる一日でした。弊所理事長・松竹寛山老師は「僧堂の一日」を全身で体感するエクササイズ(写真は「鳴らし物」に成り切って頂いているところです!)を。ディディエ・ダヴァン先生からは「日本における禅の書物の読まれ方」と題した講演で、中国と日本での禅籍の扱いの違いを教わりました(たとえば『無門関』は中国ではあまり重要視されないのだそう)。続く小川隆先生の講義では、弊所新刊『禅宗語録 入門読本』を用いて「尋思去」の公案を読み解いていきました。最後は、弊所所長・横田南嶺老師と小川隆先生の対談。日進月歩の禅語録の読み方についてなど、禅の実践者と研究者それぞれの立場からお話しいただき、大いに盛り上がったのでした。
今回テキストに用いた『禅宗語録 入門読本』(小川隆先生著)は、好評につき重版が決定いたしました!中国語のニュアンスを懇切に説く本書は、「禅の語録って難しそう」と敬遠されている方にこそおすすめしたい楽しい一冊です。ぜひお手に取っていただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

2025/02/15
花園ZEN講座 ‐傑僧・南天棒!‐ in 海清寺
2月15日(土)、禅に関する教育・研究・教化を担う、花園大学国際禅学研究所・妙心寺派教化センター・禅文化研究所が協働して実施する「花園ZEN講座」が無事終了いたしました。テーマは、昨年100年遠諱が厳修された「南天棒」こと中原鄧州禅師(1839~1925)。その遺風を伝える海清寺(兵庫県西宮市)にて、鼎談、墨蹟・禅画の公開とギャラリートーク、坐禅体験に法話と、盛りだくさんの内容で実施した当日の模様を、一部ご紹介します。まずは、遠諱事業にも深くかかわられた佐々木丞平氏(花園大学歴史博物館館長)・政道徳門老師(圓福寺住職)・志水一行氏(妙心寺派宗務本所特別研究員)による鼎談から(司会は、花園大学国際禅学研究所副所長の飯島孝良氏)。昨年、3期にわたって行われた南天棒の特別展(花園大学歴史博物館館)より、南天棒の書画をご紹介をいただき、作品を通じて禅風を偲びました。つづくギャラリートークは、今回の目玉ともいえる試み。本堂における露出展示で、実際に南天棒の墨蹟や禅画を間近にご覧いただきました。鼎談でもお話がありましたが、「あるべき場所」に掲げられた作品は、よりいっそう活き活きして見えた気がしました。こちらは海清寺住職・荒川玄梁老師による坐禅指導の模様。堂内には、同寺住職を勤められた春見文勝老師(1905~1998)によるヒマラヤの大雄峰が描かれています。当日は寒い一日でしたが、冬の禅堂は気持ちが引き締まりますね。荒川老師の法話は、わかりやすい言葉で本質に迫られ、大変心に響くものでした。海清寺では毎月第二土曜日(1・8月除く)に法話会が実施されています。どなたも拝聴できますので、お近くの方はぜひ一度お運びいただき、老師とお会いいただきたいと思いました。100名を超える皆さまと禅に親しむひとときを持てましたこと、大変うれしく思います。ありがとうございました、次回もぜひよろしくお願いいたします。

2025/02/04
サンガセミナー④漢詩作成の基本を学ぶ
1/17(金)、1/31(金)の2回にわたり、サンガセミナー「漢詩作成の基礎を学ぶ」を開催いたしました。講師は臨済宗妙心寺派、大泉寺住職(花園禅塾塾頭)桐野祥陽師をお迎えしました。各回3時間という長時間の講座でしたが、非常に分かりやすく丁寧に、第1回目は基礎知識から作成にいたるまでの行程を教えていただき、第2回目は参加者が実作した漢詩・偈頌を講師の先生に講評していただきました。参加者の方々は、休憩時間も先生に質問されたりと、熱心に受講されていましたので、充実した講座となりました。寒い中、関東など遠方からもお越しいただき嬉しいかぎりです!参加者同士がお互いに高め合い、実践していく講座となっていますので、来年度等、ご機会がありましたら、またご参加ください。

2025/01/01
【令和7年】あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます。昨年は、創立60周年を迎えることができ、慌ただしくも充実した一年となりました。たくさんの方に支えていただき、心より感謝いたします。今年もさまざまな禅の普及活動に取り組んでいきたいと思いますので、当所の公益活動へのご賛同、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。禅文化研究所のYoutubeチャンネルにて、横田南嶺所長による新年のごあいさつの動画もアップしております。禅宗ではお正月に達磨の絵を飾る風習があることから、当研究所所蔵の達磨図(象匏文雅 自画賛)の墨蹟紹介もしております。ぜひご覧下さい!令和7年が皆さまにとって明るく希望に溢れる1年となりますように。本年もどうぞよろしくお願いいたします!

2024/12/04
七転び八起きのパワースポット・法輪寺(だるま寺)へ
次号の季刊『禅文化』の資料撮影で、研究所からもほど近い法輪寺 (だるま寺)にお邪魔しました。法輪寺は、今をさかのぼる三百年前、萬海禅師が同郷(伊勢)の荒木光品居士の帰依寄進を受け、大愚宗築禅師を勧請開山として開かれた禅寺です。第十代の後藤伊山和尚は、太平洋戦争敗戦の国土・人心荒廃する日本の復興を祈念して起き上がり達磨堂を建立されました。禅宗初祖菩提達磨禅師の七転八起の精神である起き上り・忍苦・不倒の教えがシンボルとなり、以来通称「だるま寺」として親しまれています。 現在は紅葉が見頃で、真っ赤なもみじを見つけた観光客の方も訪れておられました。(紅葉の穴場スポット?)さすが「だるま寺」と親しまれているだけあって、境内の至るところにだるまが!庭の石像や、屋根瓦など、境内の至るところに隠れだるまがいるので、ぜひ探してみてくださいね。このたびお邪魔した庫裏の入り口には、とても緻密な木彫りの達磨禅師が。こちらは台湾から寄贈されたものだそうです。拝観の際に外から見ることもできますよ。境内の達磨堂には、なんと約8000体ものだるまが所狭しと並んでいます。大きなものから小さなものまで、色々なビジュアルのユニークなだるまたちがびっしり。いかめしい顔をしながらも、ころんと丸いフォルムと真っ赤な色合いがどこか愛らしいだるまさん。ここにいると、力強いパワーをいただいているように感じます。七転び八起きのパワースポット。だるまさんにあやかって、転んでも起き上がれる「七転八起」の不屈の精神のご利益をいだだきに、新年の初詣に訪れてみるのはいかがでしょうか。

2024/11/20
松山バレエ団「くるみ割り人形」を鑑賞してきました
11月16日(土)、松山バレエ団の「くるみ割り人形」の大阪公演(フェスティバルホール)を弊所の職員3名で鑑賞させていただきました。なぜバレエを観に行くの?と思われるかもしれません……。それは一ヶ月ほど前に松山バレエ団の方が弊所にお越しくださったのがきっかけです。なんと総代表であり日本のクラシックバレエのパイオニアである清水さんは、いつも大切に弊所の書籍を読んでくださっているとのことです。そしてこのたび、ご丁寧に挨拶に来てくださり、大阪公演にご招待くださったのです。主演は日本バレエ界のレジェンド・森下洋子さん。クリスマスの夜を舞台に、醜い人形を一心に大切に思い守ろうとする少女クララの美しい心が輝く物語です。クララの美しくひたむきな愛を森下さんが繊細に演じておられ、華やかなお衣装、豪華絢爛の舞台装置、企画、演出、オーケストラによる演奏……言葉は無いけれど、心で感じる芸術であり、どれを取っても素晴らしい舞台でした。我々はもちろんバレエに精通しているわけではないのですが、足や指先まで洗練されたポーズを保たれていたり、軸のぶれないバランスや表現力には素人目でも感銘を受けました。清水さんは「禅とバレエは通ずるものがあります。」とおっしゃっていたそうですが、その意味が分かったような気がします。3時間近くにも及ぶ講演の最中、手足の先まで美しい所作をずっと保つ集中力。そう簡単なものではないはずです。真摯に打ち込み、自分自身と向き合う禅の価値観を学び、バレエに活かしておられるのかもしれませんね。このたびは素晴らしい講演にお招きいただき、誠にありがとうございました。

2024/11/18
サンガセミナー③宝蔵院いけばな体験
11月16日(土)、宝蔵院(大本山萬福寺塔頭)にて、サンガセミナーを開催しました。花園禅塾の方々など関西はもちろん、遠方からお越しいただいた方もいらっしゃいました。いけばなをするのは初めてという方も多く、まずは講師の盛井先生(萬福寺住職)から、いけばなの歴史や基本的な生け方を学びました。今回の花材は、菊、ストック、カーネーション、サンゴミズキ、アンスリウムの葉の5点。それぞれよく回して見ると、一番美しく見える角度があります。「いけばなの黄金比率というものがあり、茎の長さを変えることでバランスが良く見えます」とご教授いただきました。初めてのいけばなは、堅い枝や、長い茎の花は、剣山に刺すのもなかなか一苦労。思ったような角度に向けるのも難しいと感じました。どう活けたら、自分のイメージに近づけるか?皆さん集中していけばなを楽しまれているのが伝わってきました。受講者皆さんの生け終わったお花は個性が出ており、それぞれの「美」を感じることができました。同じ花材でも人によってずいぶん印象が変わりますね。最後は盛井先生による手直し。それぞれの創意や意図を汲み取りながらも、より動きが出る角度に曲げたり、奥行きを出したり、あえてスッキリさせたりとアドバイスをいただきました。各自様々な学びがあったのではないでしょうか。盛井先生は慣れた手つきで茎や葉を大胆に切ったりと(初心者にはなかなか怖いテクニック)、熟練の技を間近で見ることができ、皆さんも感銘を受けておられたように思います。講座の後は昼食に宝蔵院オリジナルヴィーガンラーメン「寺そば」を召し上がっていただきました。今回は秋限定「濃口しょうゆ味」!この寺そばを始められたきっかけは、国指定重要文化財『鉄眼版一切経版木』や収蔵されている約6万枚の版木保全保護活動に充てるのが目的(御代金の一部が保護資金としてご志納となります)。寺そばをいただくことで、ちょっとしたお布施にもなるのですね。植物性原材料などから取った出汁に、ワカメ・とうもろこし・糸とうがらし・白キクラゲ・海苔がトッピングされており、風味豊かであっさりとしたお味でした。さて、次回のいけばな体験は2025年3月15日(土)。次は春の花を生けていただく予定です。寺そばの味も変わりますのでお楽しみに!初めての方もお待ちしております。ご興味のある方はぜひお越し下さい。3月15日のお申し込みは→こちらから!

2024/11/11
一休フォーラムが開催されました
2024年11月10日、今年も「一休フォーラム」(主催:花園大学国際禅学研究所、協賛:禅文化研究所・東京禅センター・臨済宗妙心寺派教化センター)が開催されました。登壇されたのは、芳澤勝弘先生(花園大学国際禅学研究所顧問)、飯島孝良先生(同所副所長)、辻浩和先生(立命館大学文学部教授)。辻先生は中世の遊女や芸能者に大変造詣の深い研究者のおひとり。禅学と異分野との交流も、このフォーラムの醍醐味のひとつです。今回のテーマは「一休と女性たち」。貴人のみならず遊女や盲人芸能者など、室町期の禅宗界に出入りしていた様々な女性や彼女たちの職業を学ばせていただきました。辻先生によると、室町時代は文献における女性についての記述が減るそうです。その点、『狂雲集』には一休の側に居る女性のことが詳細に記されており、歴史学的にも史料的価値が高いとのこと。先生がたのお話を伺うことで、森女や御阿姑(おあこ)といった人々が、自然と身近に感じられてきます(写真は芳澤先生の講演の様子)。個人的に興味深かったのは、一休さんが「匂い袋」や「雛人形の着物」など女性にかかわる小物作りのアルバイトをしていたというお話です。しかも砧(きぬた)を打って手を痛めたなどの記述もあるといい、「怪僧」などと言われる世間のイメージとかけ離れた繊細な一面は大変新鮮に感じました。三本の講演、鼎談、新出史料のご紹介もあり、フォーラムは盛況のうちに終了。会場の学士会館は本年12月末をもって休業、惜しまれつつも改修(新館部分は解体)が決まっており、今回はそういった意味でも貴重な機会となりました。5年後の一休遠諱に向け、「一休フォーラム」はますます活況を呈しています。次回はどのようなお話が伺えるのでしょうか?ぜひ皆さまもお運びくださいね。

2024/10/31
サンガセミナー②高台寺特別参拝【後半】
(※サンガセミナー高台寺参拝・前半のブログ記事は→こちら)[つづき]続いて造園家の北山浩士先生より庭園の解説をしていただきました。高台寺の東山を借景とした庭は、橋を挟んで左手に、緩いラインが美しい築山と鶴島、右手側に亀島が配されています。「ここが鶴の頭で……」との解説に、なるほどと頷いておられる参加者の方もいらっしゃました。偃月池に架かる「楼船廊」の中心にある観月台は伏見城から移築されたもので、ねねが秀吉を想ってこの場所から月を眺めたとも言われています。観月台の前面には池があり、こちらは月が昇ると、水面に映る月も楽しめるように工夫されているのだとか。なんとも幻想的な空間です。四季折々の豊かな自然に囲まれ、特に秋には紅葉の名所として名高い高台寺。ライトアップも始まり、連日多くの観光客の方で賑わっているそうです。その後、開山堂や龍図の解説があり、さらに臥龍廊をのぼって通常非公開の北政所の墓所「霊屋」の内部へ。こちらは高台寺職員の方でも普段は中に入れないのだとか……。
須弥壇には厨子を挟み、秀吉とねねの像が安置されています。今もねねが眠っている霊屋。須弥壇を彩る、緻密な「高台寺蒔絵」を間近で見る機会は極めて貴重で、参加者の皆さんもとても感動しておられたようです。続いて境内の高台部にある2つの茶室へ。内部には天井がなく、天井が傘を広げたようなようすから命名された「傘亭」。そして珍しい二階建て構造の茶室「時雨亭」。境内で最も高い位置にあるこの時雨亭からは、京都市内が一望できます。今回のサンガセミナーも、とても貴重な体験ができた2時間になったのではないでしょうか。講師の先生方、高台寺の職員の皆さまには大変お世話になりました。そしてご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。今後も拝観の企画をしていきたいと考えておりますので、今回参加できなかったという方も、またの機会にぜひご参加をお待ちしております!

2024/10/30
サンガセミナー②高台寺特別参拝【前半】
10月27日(日)、高台寺(京都市東山区)にて、サンガセミナーを開催しました。高台寺は豊臣秀吉の妻「ねね」が夫の秀吉の菩薩を弔うために創建したお寺です。毎年サンガセミナーでは寺院拝観を実施しておりますが、2024年秋はねねが亡くなってから400年にあたり、今年はぜひ高台寺で!と遠忌を記念した拝観を企画させていただきました。自分を慕う方とは分け隔てなく接してこられたねねの遠忌。ねねゆかりの境内や歴史をより近くで知っていただきたいという高台寺様のご厚意で、普段の拝観では決して入れない建造物や境内をたくさん案内していただきました。
座学では、季刊『禅文化』271号の高台寺特集でご執筆いただいた建築士の山田雅巳先生にご登壇いただき、1606年開創時の高台寺がどのようなものだったのか、また桃山様式の建築の特徴等について理解を深めていただきました。
創建当初は伏見城から移築された堂が建ち並ぶ絢爛豪華な寺内景観を誇っていた高台寺ですが、度重なる火災により寺内景観は大きく変わってしまいました。高台寺では、創建時の寺内景観を復興するため、建築を中心に往時の姿に戻す整備計画を進めているとのことです。客殿(小方丈)の再建については、当時の姿を文献などにより可能な限り推考していることや、伝統技法と現在の技術を取り入れた〝ハイブリット工法〟で建設が進められているというお話をしていただきました。高台寺を元の姿に戻すことは、関係者やねね様にゆかりのある方々にとって長年の悲願であり、日本の文化を継承する中で、重要な役割を担っているのですね。[つづく]