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ブログ禅
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禅文化研究所のブログです。
2024年5月までのブログ記事はこちらからご覧いただけます。
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2024/11/20
松山バレエ団「くるみ割り人形」を鑑賞してきました
11月16日(土)、松山バレエ団の「くるみ割り人形」の大阪公演(フェスティバルホール)を弊所の職員3名で鑑賞させていただきました。なぜバレエを観に行くの?と思われるかもしれません……。それは一ヶ月ほど前に松山バレエ団の方が弊所にお越しくださったのがきっかけです。なんと総代表であり日本のクラシックバレエのパイオニアである清水さんは、いつも大切に弊所の書籍を読んでくださっているとのことです。そしてこのたび、ご丁寧に挨拶に来てくださり、大阪公演にご招待くださったのです。主演は日本バレエ界のレジェンド・森下洋子さん。クリスマスの夜を舞台に、醜い人形を一心に大切に思い守ろうとする少女クララの美しい心が輝く物語です。クララの美しくひたむきな愛を森下さんが繊細に演じておられ、華やかなお衣装、豪華絢爛の舞台装置、企画、演出、オーケストラによる演奏……言葉は無いけれど、心で感じる芸術であり、どれを取っても素晴らしい舞台でした。我々はもちろんバレエに精通しているわけではないのですが、足や指先まで洗練されたポーズを保たれていたり、軸のぶれないバランスや表現力には素人目でも感銘を受けました。清水さんは「禅とバレエは通ずるものがあります。」とおっしゃっていたそうですが、その意味が分かったような気がします。3時間近くにも及ぶ講演の最中、手足の先まで美しい所作をずっと保つ集中力。そう簡単なものではないはずです。真摯に打ち込み、自分自身と向き合う禅の価値観を学び、バレエに活かしておられるのかもしれませんね。このたびは素晴らしい講演にお招きいただき、誠にありがとうございました。
2024/11/18
サンガセミナー③宝蔵院いけばな体験
11月16日(土)、宝蔵院(大本山萬福寺塔頭)にて、サンガセミナーを開催しました。花園禅塾の方々など関西はもちろん、遠方からお越しいただいた方もいらっしゃいました。いけばなをするのは初めてという方も多く、まずは講師の盛井先生(萬福寺住職)から、いけばなの歴史や基本的な生け方を学びました。今回の花材は、菊、ストック、カーネーション、サンゴミズキ、アンスリウムの葉の5点。それぞれよく回して見ると、一番美しく見える角度があります。「いけばなの黄金比率というものがあり、茎の長さを変えることでバランスが良く見えます」とご教授いただきました。初めてのいけばなは、堅い枝や、長い茎の花は、剣山に刺すのもなかなか一苦労。思ったような角度に向けるのも難しいと感じました。どう活けたら、自分のイメージに近づけるか?皆さん集中していけばなを楽しまれているのが伝わってきました。受講者皆さんの生け終わったお花は個性が出ており、それぞれの「美」を感じることができました。同じ花材でも人によってずいぶん印象が変わりますね。最後は盛井先生による手直し。それぞれの創意や意図を汲み取りながらも、より動きが出る角度に曲げたり、奥行きを出したり、あえてスッキリさせたりとアドバイスをいただきました。各自様々な学びがあったのではないでしょうか。盛井先生は慣れた手つきで茎や葉を大胆に切ったりと(初心者にはなかなか怖いテクニック)、熟練の技を間近で見ることができ、皆さんも感銘を受けておられたように思います。講座の後は昼食に宝蔵院オリジナルヴィーガンラーメン「寺そば」を召し上がっていただきました。今回は秋限定「濃口しょうゆ味」!この寺そばを始められたきっかけは、国指定重要文化財『鉄眼版一切経版木』や収蔵されている約6万枚の版木保全保護活動に充てるのが目的(御代金の一部が保護資金としてご志納となります)。寺そばをいただくことで、ちょっとしたお布施にもなるのですね。植物性原材料などから取った出汁に、ワカメ・とうもろこし・糸とうがらし・白キクラゲ・海苔がトッピングされており、風味豊かであっさりとしたお味でした。さて、次回のいけばな体験は2025年3月15日(土)。次は春の花を生けていただく予定です。寺そばの味も変わりますのでお楽しみに!初めての方もお待ちしております。ご興味のある方はぜひお越し下さい。3月15日のお申し込みは→こちらから!
2024/11/11
一休フォーラムが開催されました
2024年11月10日、今年も「一休フォーラム」(主催:花園大学国際禅学研究所、協賛:禅文化研究所・東京禅センター・臨済宗妙心寺派教化センター)が開催されました。登壇されたのは、芳澤勝弘先生(花園大学国際禅学研究所顧問)、飯島孝良先生(同所副所長)、辻浩和先生(立命館大学文学部教授)。辻先生は中世の遊女や芸能者に大変造詣の深い研究者のおひとり。禅学と異分野との交流も、このフォーラムの醍醐味のひとつです。今回のテーマは「一休と女性たち」。貴人のみならず遊女や盲人芸能者など、室町期の禅宗界に出入りしていた様々な女性や彼女たちの職業を学ばせていただきました。辻先生によると、室町時代は文献における女性についての記述が減るそうです。その点、『狂雲集』には一休の側に居る女性のことが詳細に記されており、歴史学的にも史料的価値が高いとのこと。先生がたのお話を伺うことで、森女や御阿姑(おあこ)といった人々が、自然と身近に感じられてきます(写真は芳澤先生の講演の様子)。個人的に興味深かったのは、一休さんが「匂い袋」や「雛人形の着物」など女性にかかわる小物作りのアルバイトをしていたというお話です。しかも砧(きぬた)を打って手を痛めたなどの記述もあるといい、「怪僧」などと言われる世間のイメージとかけ離れた繊細な一面は大変新鮮に感じました。三本の講演、鼎談、新出史料のご紹介もあり、フォーラムは盛況のうちに終了。会場の学士会館は本年12月末をもって休業、惜しまれつつも改修(新館部分は解体)が決まっており、今回はそういった意味でも貴重な機会となりました。5年後の一休遠諱に向け、「一休フォーラム」はますます活況を呈しています。次回はどのようなお話が伺えるのでしょうか?ぜひ皆さまもお運びくださいね。
2024/10/31
サンガセミナー②高台寺特別参拝【後半】
(※サンガセミナー高台寺参拝・前半のブログ記事は→こちら)[つづき]続いて造園家の北山浩士先生より庭園の解説をしていただきました。高台寺の東山を借景とした庭は、橋を挟んで左手に、緩いラインが美しい築山と鶴島、右手側に亀島が配されています。「ここが鶴の頭で……」との解説に、なるほどと頷いておられる参加者の方もいらっしゃました。偃月池に架かる「楼船廊」の中心にある観月台は伏見城から移築されたもので、ねねが秀吉を想ってこの場所から月を眺めたとも言われています。観月台の前面には池があり、こちらは月が昇ると、水面に映る月も楽しめるように工夫されているのだとか。なんとも幻想的な空間です。四季折々の豊かな自然に囲まれ、特に秋には紅葉の名所として名高い高台寺。ライトアップも始まり、連日多くの観光客の方で賑わっているそうです。その後、開山堂や龍図の解説があり、さらに臥龍廊をのぼって通常非公開の北政所の墓所「霊屋」の内部へ。こちらは高台寺職員の方でも普段は中に入れないのだとか……。
須弥壇には厨子を挟み、秀吉とねねの像が安置されています。今もねねが眠っている霊屋。須弥壇を彩る、緻密な「高台寺蒔絵」を間近で見る機会は極めて貴重で、参加者の皆さんもとても感動しておられたようです。続いて境内の高台部にある2つの茶室へ。内部には天井がなく、天井が傘を広げたようなようすから命名された「傘亭」。そして珍しい二階建て構造の茶室「時雨亭」。境内で最も高い位置にあるこの時雨亭からは、京都市内が一望できます。今回のサンガセミナーも、とても貴重な体験ができた2時間になったのではないでしょうか。講師の先生方、高台寺の職員の皆さまには大変お世話になりました。そしてご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。今後も拝観の企画をしていきたいと考えておりますので、今回参加できなかったという方も、またの機会にぜひご参加をお待ちしております!
2024/10/30
サンガセミナー②高台寺特別参拝【前半】
10月27日(日)、高台寺(京都市東山区)にて、サンガセミナーを開催しました。高台寺は豊臣秀吉の妻「ねね」が夫の秀吉の菩薩を弔うために創建したお寺です。毎年サンガセミナーでは寺院拝観を実施しておりますが、2024年秋はねねが亡くなってから400年にあたり、今年はぜひ高台寺で!と遠忌を記念した拝観を企画させていただきました。自分を慕う方とは分け隔てなく接してこられたねねの遠忌。ねねゆかりの境内や歴史をより近くで知っていただきたいという高台寺様のご厚意で、普段の拝観では決して入れない建造物や境内をたくさん案内していただきました。
座学では、季刊『禅文化』271号の高台寺特集でご執筆いただいた建築士の山田雅巳先生にご登壇いただき、1606年開創時の高台寺がどのようなものだったのか、また桃山様式の建築の特徴等について理解を深めていただきました。
創建当初は伏見城から移築された堂が建ち並ぶ絢爛豪華な寺内景観を誇っていた高台寺ですが、度重なる火災により寺内景観は大きく変わってしまいました。高台寺では、創建時の寺内景観を復興するため、建築を中心に往時の姿に戻す整備計画を進めているとのことです。客殿(小方丈)の再建については、当時の姿を文献などにより可能な限り推考していることや、伝統技法と現在の技術を取り入れた〝ハイブリット工法〟で建設が進められているというお話をしていただきました。高台寺を元の姿に戻すことは、関係者やねね様にゆかりのある方々にとって長年の悲願であり、日本の文化を継承する中で、重要な役割を担っているのですね。[つづく]
2024/10/22
「賛助会員と行く禅の旅」レポート
10/17(木)埼玉県新座市にある、臨済宗妙心寺派 平林寺にて、賛助会員限定の「所長と行く禅の旅」を以下の日程で開催いたしました。当日は雨も降らず、秋らしいとても過ごしやすい天候となりました。はじめに参加者は書院にて到着後の茶礼を行いました。平林寺の雲水(修行僧)にも加担していただき、機敏かつ丁寧な雲水らしい作法でお茶菓子が配られ、横田所長のご挨拶をもって円滑に会が進められました。次に、参加者一同で本堂へ参拝し、『般若心経』を読経。松竹理事長のご挨拶の後、本堂、禅堂、霊屋、境内の順番に平林寺の案内していただきました。平林寺の境内はとても広大で13万坪を超え、これは東京ドームが9つ分も入る大きがあるそうです。その敷地内を順番にご説明いただき、最後に奥庭にて記念撮影を行いました。午後からは理事長ご指導の「禅エクササイズ」を大書院にて行いました。禅エクササイズは、基本的な準備運動を行った後、相手の発言や動作を真似て、参加者同士がお互いに交流しますので、緊張感がほぐれてとても和やかな雰囲気になり笑顔があふれる場となりました。引き続き、所長による『天台小止観』二十五方便についての講座がなされました。人間が常に笑顔で居られるには一体どうすれば良いかという方法が、具五縁、呵五欲、棄五蓋、調五事、行五法の5つの分類で25箇条が記されています。一口に言えば、「感情を波だたせないこと」と、「思考力を正しく働かせること」の二つきり。(松居桃樓『微笑む禅』より)ということだそうですが、一部ご紹介いたします。(調五事)十六、適度な食事をとること。十七、適度の睡眠をとること。十八、身体を調えること。十九、呼吸を調えること。二十、心を調えること。こちらの上記二則は普段の生活の中でも意識すればできることですが、やはり日常生活の中で、身体、呼吸、心を調えると言うことは基本であることが分かります。最後に、(行五法)二十一、仏道を願い求めること。理想を求めること。(欲)二十二、努力を続けること。(精進)二十三、悟りを得よう(理想を実現しよう)と念じ続けること。(念)二十四、悟りを得る(理想を実現する)為にどうすればよいか工夫すること。二十五、心を一つに集中して専念すること。(一心)こちらについては長く修行をされた方でも実践することはなかなか困難であると仰らていました。私たちは生活する中で、必ず他人と触れ合い対話する機会があります。自分自身が如何に笑顔でいられるか、言葉は通じずとも笑顔は万国共通ですので、日々意識して実践していきたいものです。今回のご参加いただいた皆様は、禅にとても興味、関心がある方がたくさん居られましたので、さらなる禅への関心をもっていただくために、今後も参加しやすく実のある企画を提供していきたいと思います。日程10時半 受付10時45分 到着茶礼 本堂にて般若心経 11時 拝観12時 記念撮影12時半 昼食(泉竹)精進弁当13時半 禅エクササイズ15時 講話16時半 散会賛助会員は随時募集しております。詳しくは→こちらから!
2024/10/18
秋季企画展「100年遠諱記念 南天棒」へ
現在花園大学歴史博物館にて開催中の、「100年遠諱記念 南天棒」展へ。禅の形象をキャラクター化した味のある絵や、ユーモア溢れる禅画がずらりと展示されています。南天の棒をいつも持ち歩き、生半可な悟り口にする者たちには、それを振りかざして震え上がらせたという鄧州和尚(南天棒)。実際に所持していた萩棒も展示されていました。南天じゃないの?と思いましたが、諸説あるそうで、色々な種類の木を持ち歩いていたとも伝えられているようです。息づかいまで聞こえてきそうですね。
個人的に目を引かれたのが、全面に落款が押されたこちらの軸。顔より大きいものから1~2cm?くらいの小さなものまで並んでいます。この大きな落款が押された作品があれば、きっとこの会場を突き抜けてしまうほどのサイズになるのでは……と想像をかき立てられました。自分好みの落款を探してみるのも楽しそうです。こちらは季刊『禅文化』272号の表紙にもなった鄧州全忠像。実際の写真を見ると、つり上がった眉と垂れ目がそっくりです。一発描きでここまで特徴を捉えられるのがすごいと思いましたね。
横の『南天棒図』も非常に迫力があり、常に南天の棒を携え、修行者を容赦なく殴打した豪僧として知られる鄧州和尚を見事に表わした一作だと感じました。展覧会の詳細は以下のとおり。ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください!●会期2024年10月7日(月)~12月24日(火)第1期 10月7日(月)~11月2日(土)第2期 11月4日(月・振休)~11月30日(土)第3期 12月2日(月)~12月24日(火)※会期中、大幅な作品の展示替を行います。●休館日日曜日(11月17日は開館)、祝日※大学行事により臨時休館する場合があります。●開館時間10:00~16:00●会場花園大学歴史博物館(無聖館4階)●入館料無料●主催花園大学歴史博物館●協力海清寺(兵庫県西宮市)圓福寺(京都府八幡市)
2024/10/10
禅文化研究所創立60周年記念式典・祝賀会
本年、公益財団法人禅文化研究所は設立60周年を迎えました。長きにわたり当研究所の活動をお支えいただいている臨済宗黄檗宗本山各派、宗門関係各位、花園大学、法人・賛助会員各位には心より御礼申し上げます。さて、2024年10月9日(水)、京都ブライトンホテルにて、禅文化研究所創立60周年記念式典と祝賀会を開催いたしました。記念式典では、創立功労者追悼法要、理事長・所長のあいさつ、そして、「第5回禅文化賞」受賞者発表・授与式も行ないました。今回は、臨済禅の実践・思想・文化の学術的研究など、禅文化普及に対して数々の実績をあげられた、西村惠信師と石井修道師が受賞されました。
また、芳澤勝弘先生による記念講演「白隠禅師に学ぶ」が行われました。白隠禅師の特徴的な達磨は、どのような過程を経て描かれるようになったのか。白隠の歴史をたどり、漢文を読み解きながら詳しく解説していただきました。その後の祝賀会は、花園大学の栗原正雄学園長・小川隆先生の祝辞、天龍寺の小川湫生総長の乾杯で開幕しました。禅文化研究所や寺院のご関係で、久々の再会という方もたくさんいらっしゃったようです。また初対面の方同士でも話すうちにいろいろな共通項が見つかり発見があったりと、終始楽しい雰囲気で皆さん話に花が咲いておられました。最後は禅文化研究所評議員の高井正俊師と、飛び入りで西村惠信師の締めの挨拶で幕を閉じました。さて次は70周年に向けて、ご支援をいただいている多くの方々の期待に応えられるよう、役員・職員が一致団結して禅の普及活動に取り組んでいく所存です。今後とも禅文化研究所の公益活動へのご賛同、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
2024/09/30
サンガセミナー①江湖法式梵唄抄 基本所作講座(2)
若手僧侶育成プログラムの一環として9月27日に妙心寺山内慧聖院に於いて、ご住職の吹田先生ご指導の下、サンガセミナー①江湖法式梵唄抄基本講座(2)が行われました。今回は九拝式をテーマに一連の流れから所作動作までご指導いただきました。斎会では九拝式の形をとることが多いと思います。実際に役につかれた際、道具の持ち方、動き方など、これであっているのかな?と思われる方もいるのではないでしょうか。特に若手の方であればなおのことではないでしょうか。今回の講座はそんな「なんとなく」だった部分が「はっきりわかる」ようなものでありました。
実際に質疑応答の際には、ご参加いただいた皆様は「前から気になっていたあれ」をたくさんお持ちのようで吹田先生に投げかけておられました。さすがに熟知精通されている吹田先生は懇切丁寧に皆様の疑問にお答えになられていました。
今回参加していただいた皆様、遠方から起こしになられた方もおられました。ご参加いただき誠にありがとうございました。慧聖院住職 吹田先生、今回も大変お世話になりありがとうございました。今後もサンガセミナーにおいて若手僧侶育成の一環として様々な催しをかんがえております。その際にはふるってご参加くださいますようお願いいたします。
2024/09/18
建仁寺「生誕100年記念 小泉淳作展」へ
大本山建仁寺の本坊と塔頭・禅居庵で開催されている「生誕100年記念 小泉淳作展」へ、足を運んできました。境内の「潮音庭」は何度観ても緑が美しく瑞々しいですね。心が浄化されるようです。
小泉淳作(1924~2012)は、建仁寺法堂の『双龍図』を制作した日本画家で、各地の寺院の天井画や障壁画などの大作を手掛けました。今回の展覧会は小泉淳作の生誕100年を記念して開催されました。龍の絵は知っていても、作者のことは詳しく知る機会があまりなかった(?)ように思いますが、小泉氏ゆかりの建仁寺で、初期の作品から晩年の作品まで一同に作品が並ぶ貴重な展示です。
東大寺本坊の襖絵「蓮池」は、全40面に及ぶ大作でした!今回の展示のために特別に奈良から移設して公開されていました。金泥一色の背景と、力強く描かれた鮮やかな蓮が圧巻です。
襖絵「しだれ桜」は桜の花ひとつひとつが描かれた繊細さと迫力を併せ持った作品。木の華やかさや生命力に圧倒されました。その他、細密に描いた花や野菜の静物画なども観ることができました。(禅居庵にて)非常にさまざまな作風の方だなという印象でしたが、緻密な書き込みと力強い筆使いを両立させた独自の世界観が特徴でした。静物画はまるで触れそうなほどの繊細な描写と質感があり、そのボリューム感や陰影に目を奪われます。
もちろん法堂の『双龍図』も拝見できました。この『双龍図』は70代後半にもなる小泉氏が、2年におよび北海道の体育館を貸し切って制作された様子が上映されておりました。2002年に奉納された作品とのことで、制作風景や、天井に貼られている様子が映像で残っているのですね。空想の生き物でありながら、髭や鱗の細部まで非常に細かく描かれております。ダイナミックで躍動感が溢れる龍は、ただただ圧巻でした。会期は9/23まで。建仁寺の空間で観る、エネルギー溢れる作品の数々をぜひ体感してみてはいかがしょうか。